「うれしいの一言」坂本19歳の“美酒”

[ 2008年10月11日 06:00 ]

未成年の坂本は「ビールをかけないで」とアピール

 【巨人3―1ヤクルト】大逆転でリーグ連覇を成し遂げた巨人。その原動力となった坂本勇人内野手(19)ら若手の台頭は2軍での育成計画が実を結んだものだった。高卒2年目の坂本は、今季チームでラミレスとともにここまで全試合でスタメン出場。“つなぎ役”としてなくてはならない存在となった19歳の活躍は、球団の方針が間違いでなかったことの証明だ。坂本だけじゃない。鍛え上げられたヤングGが巨人の黄金期を復活させる。

 開幕からスタメンに名を連ね続けて143試合目。坂本は歓喜の瞬間に備えて“満員御礼”となったベンチの前で待機した。あまりに濃密な1年。優勝が決まると両手を上げてグラウンドに向けて駆け出した。
 「うれしいの一言です。1軍選手として1年目で優勝できて喜ばしいですね。いい時も悪い時もあったけれど、いい経験になった。今後の野球人生に生かしたい」
 そして人生初のビールかけ。最年少の19歳は「ビールをかけないで下さい」のタスキをかけて登場。炭酸水48本の集中砲火を浴びてはしゃいだ。
 神宮は思い出の地だ。3月28日の開幕戦では「8番・二塁」で、チームでは94年の松井(現ヤンキース)以来、14年ぶりに10代開幕スタメン。2戦目以降は右ふくらはぎを肉離れして2軍落ちした二岡に代わり、この日まで遊撃を守り続けた。4月6日の阪神戦(東京ドーム)でプロ1号満塁弾。華々しいスタートを切ったが、その後は苦しんだ。最高・313だった打率は6月に2割前半まで低下。原監督は「この打率では巨人のレギュラーは張れない」とスタメン落ちを示唆したこともあった。
 心の支えは友人の存在。坂本は青森・光星学院に入学当初の04年4月、1年生大会で人生初の頭部死球を受けた。その夜、寮の自室で気分が悪くなった坂本の背中を同僚たちが交代で朝までさすってくれた。悩んだときは同級生に電話をすることでリフレッシュできた。
 夏場以降は谷、阿部ら主力選手に積極的にアドバイスを求め、自身の打撃に生かした。この日は3打数無安打で、通算打率は・254。それでも高卒2年目で遊撃を守り続けた若武者は、中継ぎ左腕の山口とともに新人王候補だ。
 143試合を走り抜いてきたがゴールテープはまだ先だ。「僕が一番、若いので思い切ったプレーで貢献したい」。精神的にも肉体的にも急成長を遂げた19歳は、シーズンを完走したときに“最高の1年”を振り返る。

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2008年10月11日のニュース