巨人 育成実った!原動力は若手の台頭

[ 2008年10月11日 06:00 ]

 大逆転でリーグ連覇を成し遂げた巨人。その原動力となった坂本ら若手の台頭は2軍での育成計画が実を結んだものだった。球団は強化指定選手を設定し、打者には打席数を、投手には登板数を意図的に多く与え実戦経験を徹底的に積ませたことなどが飛躍的な成長につながった。また、シーズンを通して大型連敗をしなかった背景にはスコアラー陣の改革があった。

【巨人優勝パネル


 巨人の長年の課題だった生え抜きの若手育成。今季は球団が進める育成計画が結果となって表れた1年になった。
 今季1軍で全試合にスタメン出場を続ける坂本は、新人だった昨年、同期入団の円谷、田中とともに強化指定選手となり2軍戦で経験を積んだ。06年には2軍で300打席を超える選手は1人もいなかったが、昨年は坂本330、円谷332、田中が350打席に立った。吉村2軍監督は「実戦の量をこなすことが大事。いろいろなことを覚えるし、経験になるから」と言う。故障があれば、ノルマとされる打席には到達できない。試合数が50も多い1軍でプレーするための体力も培われた。
 セットアッパーの地位を確立した山口は、05年の育成ドラフトで入団。1年目には2軍戦で25試合に登板し防御率1・61。1軍に上がるための土台をつくり、昨季から支配下選手に昇格してプロ初勝利と着実にステップを上がった。
 新たな計画もスタートした。7月1日に元巨人投手で総括部課長兼医療コンディショニング室の松尾英治氏が育成ディレクター就任。7月下旬までに2軍選手と個人面談を行い、ABCDと4段階の組分けを行った。Aは1軍クラス、Bは1軍半、Cが2軍、Dがケガ人とリハビリ組。Aの選手(強化指定選手)は、これまで以上の実戦重視プログラムが組まれた。“第2の坂本”として期待のかかる高卒ルーキー・中井は、2軍戦で96試合中、94試合に出場し、打席数は390。坂本を上回る数をこなした。
 さらに各選手に自己分析をさせた。提出させるシートは、球界でも例がないほど細分化されたもの。その項目は10以上に及んでいた。投手なら球速、制球、変化球、スタミナといった一般的な要素に加え、精神面の強さなどまで盛り込まれた。「原監督にも資料を提出しました。現状の把握などに役立てばいい」と松尾氏。個々の育成計画は1カ月単位で見直される。黄金期へ向け次のスター候補の育成も着々と進んでいる。

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2008年10月11日のニュース