単独首位渡さん！球児連投も力で封じた

＜ヤ・神＞岡田監督（左）に迎えられる藤川

　【阪神８－３ヤクルト】阪神の藤川球児投手（２８）が５日のヤクルト戦で、８回からの２イニングを無安打無失点に抑えた。９戦連続、さらにストッパー転向後初めて２日連続の２イニング登板も、力でねじ伏せた。前夜は心ないファンのヤジにフラストレーションがたまったが、守護神の力投でチームは６日ぶりの勝利。巨人との０・５差も死守した。残り５試合。球児は最後の力を振り絞り、スパートをかける。

【阪神グッズ
】

　魂のこもった白球を投げ込むたびに右腕からしぶきが舞った。大粒の雨が降りしきる最悪のコンディションも、藤川の集中力を妨げることはできない。２回、打者６人をパーフェクト。見事な火消しでチームに６日ぶりの勝利をもたらすと、ウイニングボールを三塁側スタンドに投げ込んだ。
　「ファンの方に（いいプレーを）見せることが仕事」
　９試合連続登板。４試合連続で８回からの登板も、全く問題にしなかった。鉄腕の輝きは増していた。畠山、福地を高めの速球で空振り三振。田中もわずか２球で料理した。危なげない投球で８回を乗り切り、５点差がついた９回も当然のようにマウンドに向かう。簡単に２死を奪い、最後は川端を速球で見逃し三振に切り捨てた。
　守護神のプライドが懸かっていた。３日のヤクルト戦（神宮）は救援に失敗。前夜は８回からの２イニングを完ぺきに抑え、執念の引き分けに貢献した。しかし、試合後には引き揚げる岡田監督に厳しいヤジが飛んだ。「球児がつぶれるやないか！」。指揮官に向けられた一言に藤川も「そんなことない！」と反論。マウンドでも、それを証明した。
　この日“岡田コール”の中を引き揚げた指揮官は「もうちょっと点を取れば、楽な展開になって球児も休ませられたかもしれん」と追加点が奪えなかったことを反省点に挙げたが、０・５ゲーム差の首位死守には満足そうな表情だった。
　「体は全然大丈夫。あと５試合。すぐ終わるやん。そのあと休める。大丈夫。やるしかない」
　力強くラストスパートを宣言した藤川。残り５試合。頂点にたどり着くまで虎を守り抜く。