一夜の悪夢であってくれ…虎 球児で負けた

[ 2008年10月4日 06:00 ]

<ヤ・神>8回裏1死二、三塁、川本に左翼線2点適時打を浴び、ガイエル(左)の逆転ホームインを許す藤川

 【阪神5-7ヤクルト】痛ッ!球児で負けた。阪神は3日、ヤクルトに中盤まで5点差をつけながら7回に久保田智之投手(27)、ジェフ・ウィリアムス投手(36)らが4点を失うと、8回1死満塁から登板した藤川球児投手(28)も大乱調。いきなり暴投で同点とされると、川本に左翼線二塁打を浴び、まさかの逆転負けを喫した。勝利の方程式が崩れた猛虎は、巨人に同率首位に並ばれるとともに、Vマジックまで再び消滅した。

 苦笑いも、強がりも出てこない。ぼう然とするしかなかった。今季最大の5点差をひっくり返された敗戦に、阪神・岡田監督は「そりゃ、まさかよ」とつぶやいた。
 1点差に詰め寄られた8回1死満塁。藤川が7月16日のヤクルト戦(甲子園)以来となるイニング途中から登板した。ピンチを救うはずが、川本への2球目を内角頭上付近に大暴投し、同点に追いつかれた。甲子園に動揺が広がる中、続く3球目を左翼線へ痛打される。2者生還で5―7。虎党は振り上げていた両腕を力なく落とした。藤川は「打たれたからね。仕方ない。暴投?勝負にいって、あの結果」と負けを認めた。
 「JFKプラスA」は雪崩を打って全滅した。先発・安藤は6回3安打無失点と仕事を全うしたが、7回に登板した久保田が先頭の飯原から3連打を許し、1死満塁で降板。2番手・ウィリアムスも打たれて久保田がためた走者を全員還してしまった。1点差に迫られた2死一塁で引き継いだ「プラスA」ことアッチソンは空振り三振でしのいだが、8回に田中の中前打などで1死満塁のピンチ。ここで頼みの綱・藤川を送り込んだが、救援4投手全員が炎上する無残な結果となった。
 ウィリアムスは「自分の仕事ができなかった」と下を向き、アッチソンは「いい投球ができなかった。それだけだ」と吐き捨てた。これで優勝マジックは今季7度目の消滅となり、0・5差をつけていた巨人と同率首位に並んだ。最大13あったゲーム差はもはや忘却のかなたとなり、シーズン終盤の苦戦は、後半の失速でV逸した92年、そして9月のヤクルト戦(神宮)で首位転落して以来沈没した昨年をほうふつさせる。
 残り7試合。今後の敗戦は1敗以上の意味を持つ。岡田監督は「痛いのは痛い。切り替えていくしかない」。藤川も「終わったことだから、またあした」と必死に顔を上げた。虎の生命線「JFK」の崩壊が一夜限りの悪夢で済めば、最短Vは10・8だ。済まなければ、失速V逸の悪夢をまた見ることになる。

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2008年10月4日のニュース