岩村 世界一への挑戦「出るだけじゃ意味ない」

[ 2008年10月2日 06:00 ]

マドン監督(中央)と談笑する岩村

 大リーグは1日(日本時間2日)から、ポストシーズンがスタート。決戦を前に球団創設11年目で初の地区優勝を成し遂げたレイズの岩村明憲内野手(29)はスポニチの独占インタビューに応じ、激動の1年を振り返るとともにポストシーズンへ懸ける思いを語った。30日は本拠地で練習を再開。レイズは2日からの地区シリーズで、この日、優勝決定戦(ワンゲーム・プレーオフ)を勝ち上がったホワイトソックスと対戦する。

 ――06年オフ、ポスティングシステムでの入団時には想像もつかなかったという地区優勝を達成した。
 「球団名は知っていたけど、どこにあるかも分からず、タンパってどこ?と。すぐ調べて、行きがいのあるチームだと思った。強いチームでもベンチじゃ意味がないし、強くなる、勝っていく過程を学びたいと思った」
 ――レイズは過去10年で最下位が9度。ウエーバー制のドラフトでは有望な若手を毎年獲得し、潜在能力は高かった。
 「言う人間がいなかったからでしょ。創設当初はボッグス(通算3010安打)カンセコ(通算462本塁打)ら凄い選手がいた。でも全員がベテランでは勝てない。若い選手がそろう頃には引退して、教えてやれなかった。言ってあげなきゃいけない部分があった」
 ――長年レイズに欠けていた役割を、外国人の岩村選手が果たした。
 「同じユニホームを着て、勝つためにここにいるわけで。たとえば全力疾走や、外野手が適時打に対し無理な本塁への送球で打者走者の二塁進塁を許したり。日本では当たり前だけど、彼らはそういう教育は受けていない。自分たちが教えていかないと、と思った。でも、言い方にも気を付けて。たとえば自分が日本にいて、外国人に偉そうに言われても受け入れられない。まずは相手のことを認めてやること。ベテランのフロイドに伝えたり、特にそっちの方で苦労したかな、今年は」
 ――二塁へのコンバートも経験した。
 「最初はギャンブルするな、と思った。二塁が未経験者、遊撃はツインズから加入した昨年26失策(両リーグ最多)のバートレットというんだから。でもお互い言い合いながら、勉強しながら。三塁への誇り、こだわりは今もあるけど二塁手として評価されているなら戻りたいとは思わない」
 ――昨年は10月4日に帰国。リーグ優勝決定シリーズではテレビ解説者を務めていた。
 「選手である以上、球場にいるべきだよね。むなしかったね。プレーオフは8球団しか味わえない幸せな時間。でも五輪じゃないから出るだけじゃ意味がない。今年は本当にチャンス、来年もあると思っちゃいけない」
 ――記録ずくめの快進撃には“奇跡”という言葉が常につきまとう。
 「奇跡で97回も勝てたらそうかもしれないけど、何度もそう言って恥ずかしくない?と思う。結果がこの最難関地区での優勝だし、大事なのは自分たちが自信を持ちやってきたということ。強いものが勝つんじゃない、勝ったものが強いんだ」
(聞き手・後藤 茂樹)

 ≪相手はホワイトソックス≫地区シリーズの相手はホワイトソックスに決まった。この日から再開したチーム練習の時点では決定していなかったが、岩村はホ軍について「通算本塁打の数なら断トツ。破壊力があるし、優勝決定戦を制した勢いは怖い部分でもある」と警戒していた。今季ホ軍には6勝4敗と勝ち越し。岩村は対戦打率・250だったが、1番打者としてチャンスメークに期待がかかる。また、マドン監督と親交がある米俳優ケビン・コスナーが優勝記念曲“It’s All Up to You”を作製し「チームが勝てば、町も活気づく」とエールを送った。

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2008年10月2日のニュース