スンヨプに火をつけた背番号25の女の子!

[ 2008年9月28日 06:00 ]

<神・巨>3回2死一塁、李は中越えに2ランホームランを放ち、ラミレス(左)に迎えられる

 【巨人6―4阪神】巨人は27日、李スンヨプ内野手(32)の2ラン、アレックス・ラミレス内野手(33)の適時打などで計6点を稼ぐと、中盤以降は総力リレーで逃げ切り、136試合目で再び阪神と首位に並んだ。28日は阪神に試合がないため、巨人が中日を下すと今季初の単独首位に浮上する。GT直接対決は1試合を残すのみだが、激烈な優勝争いはまだまだ続く。

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 右翼から左翼へ吹くいつもの浜風ではなかった。甲子園の夜空に吸い込まれた李スンヨプの打球は、中堅方向への追い風に乗った。悲鳴と怒号を切り裂いてバックスクリーンに到達。決勝弾を含む3安打4打点でヒーローインタビューを受けると「チームの勝ちに貢献できてよかった」と笑った。
 敵地がため息に包まれたのは1点を追う3回だ。同点とし、なお2死一塁から中越えに決勝の8号2ラン。カウント2―2から阪神・岩田の内角直球をとらえた。4回も貴重な2点適時打で、ここ10試合は6発17打点。今季の甲子園も16打数10安打で打率・625とした大砲は「甲子園は集中するのに難しいけど、逆にそれが集中につながっている」と説明した。
 今季は開幕4番を務めながら4月中旬に打撃不振で2軍落ち。北京五輪後の8月下旬からようやく1軍に定着し、昨オフに手術した右手親指の痛みがなくなった今月から急浮上した。「2軍ではいろいろと考えた」と精神的にふさぎ込んだが、打撃復調で元来の明るさも復活。ロッカーでは高橋由、阿部ら主力選手の打撃フォームのマネをして周囲を笑わせている。緊張感が高まっていたこの日も古城のマネを披露。打棒はもちろん精神的にもチームに必要不可欠な存在だ。
 ラミレスも1点を追う3回に同点打を放つなど3安打2打点。試合前に伊原ヘッドコーチから打席の立ち位置を半歩だけホームベースから離れるようにアドバイスされて実践した。風邪気味でも4番の仕事を果たし「内角球をさばけるように位置を変えた。伊原ヘッドのおかげ」と感謝した。
 19日からの阪神3連戦(東京ドーム)に3連勝。25日の広島戦(広島)に敗れて連勝は12で止まったが、1ゲーム差で迎えた天王山も制し、再び首位タイとした。阪神戦6連勝で02年以来6年ぶりの同カード勝ち越し。それでも原監督は「お互い死力を尽くし、ギリギリでこちらに軍配が上がっただけ」と気を引き締めた。
 23日の広島戦(広島)。宿舎から歩いて球場入りした李スンヨプは、自身と同じ背番号「25」のユニホームを着た幼少の女の子を見つけた。掛けられた言葉は「優勝してね」。優しい笑顔でうなずいた。残り8試合。振り返れば苦難ばかりの08年を、奇跡の逆転Vで完結させる。

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2008年9月28日のニュース