負けて吉報!レイズ深夜のシャンパンファイト

[ 2008年9月28日 06:00 ]

タイガース戦後、記者の質問に答える岩村。この後、レッドソックスが敗れてレイズの地区優勝が決定

 【レイズ4―6タイガース】レイズが27日、球団創設11年目にして初のア・リーグ東地区優勝を決めた。マジック1で迎えたデトロイト(米ミシガン州)でのタイガース戦は4―6で敗れたが、日付をまたいだ午前1時前に2位レッドソックスが敗戦。プレーオフ進出決定時に続く2度目のシャンパンファイトで喜びを爆発させた。2年目で不動の1番打者に定着した岩村明憲内野手(29)に率いられた、かつての“お荷物球団”が次なる目標・世界一を目指す。

【岩村 何苦楚魂グッズ


 奇跡が完結した。敗戦から約3時間後、レッドソックスが敗れて優勝が確定。98年の創設から10年間で9度最下位。昨年30球団最低勝率(・407)に沈んだお荷物球団。そのレイズが全米最難関地区の頂点に立った。
 「この地区で上に立つのがどれだけ厳しいか。今までの野球人生で一番の喜びかもしれない」
 岩村の言葉は偽らざる本音だ。ヤクルトで日本一、06年にWBCで世界一にも輝いた。「ワールドシリーズやWBCで勝つより、この地区で優勝する方が難しいし、中身が濃い。だから地区優勝、と言い続けてきた」。ヤンキース、レッドソックス以外の球団が同地区を制すのは97年オリオールズ以来実に11年ぶりだ。
 「1つの転換点」は3月12日オープン戦。岩村が悪質なタックルで削られ、大乱闘に発展した。「あのヤンキースが、うち相手にあそこまで必死だった」。チームはウエーバー制のドラフトで毎年有望選手を獲得。原石はそろっていた。自信をつけたナインは18勝8敗の30球団最高勝率でオープン戦を終了。勢いのまま突入したシーズンでは7月18日以降、1度も首位を譲らなかった。
 チーム最多151試合に1番打者として出場。8月下旬にこだわり続けた赤バットを白木に替えた。同月上旬のタイガース戦で色にクレームを付けられた。ルール上問題はないが「形は意地でも変えないけど、色なら。また突っ込まれて進行が悪くなり、チームに迷惑がかかるなら」と“意地”を半分だけ捨てた。誰よりチームを優先し、時には若手をしかり飛ばした。マドン監督は「アキのおかげだ。守備でもゴールドグラブに値する動きに助けられた」と二塁コンバートに応え、チームを引っ張り続けたリーダーに最敬礼した。「ダイヤの原石ばかり。この先、このチームは凄いことになる」と岩村は発展途上を強調した。世界一、そして黄金時代到来へ。奇跡の完結は、新時代への序章にすぎない。

 ≪岩村はシャンパンファイトに参加せず≫タイガース戦終了から約3時間後の午前1時から今季2度目のシャンパンファイトが始まった。レッドソックス戦が降雨で遅れたため、その結果を待つ形に。選手はホテルに戻るか、近くのカジノでテレビ観戦するかを指示されていた。カジノ組は球場に戻ったが、岩村、バートレットらホテルに帰った選手たちは移動距離が長いため、球場には戻らずシャンパンファイトにも参加しなかった。ニュージーランド産シャンパンのリンダウアー約200本とビール、さらにドンペリなどで祝宴は約1時間にわたり、チームが球場を後にしたのは午前2時を回っていた。

 ▼データ 前年最下位から地区優勝を飾ったケースは今回のレイズで8度目。最近では07年カブスが前年最下位からの地区優勝を遂げた。ア・リーグに限れば、91年ツインズ(前年74勝88敗の6位→95勝67敗で優勝)以来、17年ぶり2度目。また、前年まで10年連続負け越しチームの96勝は史上最多となっている。

続きを表示

2008年9月28日のニュース