赤一色に…広島市民球場が公式最終戦

[ 2008年9月28日 17:22 ]

広島市民球場のスタンドで「ありがとう」と書かれた紙を掲げる広島ファンの少年

 夢と感動をありがとう―。プロ野球広島カープが28日、老朽化により今季限りで閉鎖、51年の歴史に幕を下ろす本拠地・広島市民球場(広島市中区)でのリーグ最終戦を迎え、詰め掛けた3万609人のファンらで満員の観客席が赤一色に染まった。

 原爆投下で焼け野原となった市中心部、原爆ドームの北側に被爆地復興のシンボルとして1957年に誕生した市民球場。中国地方でナイター設備のある初めての球場として数々のドラマを生み、球団とともに市民に愛され続けてきた。
 「なくなるのは言葉にし難い」と、右翼席で涙ぐんだ私設応援団メンバーの会社員沢田聡さん(28)=大阪府箕面市=。
 「アットホームで、選手とファンの距離がとても近い球場。今日を最後にしたくないので、日本シリーズでまた戻ってきたい」と声をからした。
 対戦相手のヤクルトを応援する「広島ツバメ軍団」会長長谷川幸魚さん(39)=広島市佐伯区=も「真新しい球場より愛着があり、感謝の気持ちでいっぱい。今日の試合は勝ち負け以上に価値がある」と感慨深そう。
 来季から応援の舞台は、JR広島駅東側の貨物ヤード跡地に建設中の新球場に移る。市民球場は取り壊され、跡地は公園などへの利用が検討されている。

 ▼前田智徳広島外野手の話 いろいろな思い出がある。ファンにはありがとうございました、と(伝えたい)。日本シリーズでもう一度(この球場でプレーする)という思いがある。
 ▼緒方孝市広島コーチ兼外野手の話 (最後の試合で)打席に立ち、グラウンドを一周する時までファンが残ってくれたことは、一生の思い出になる。(満員が続き)打席では最近、冷静になれない。
 ▼山本浩二元広島監督の話 寂しい気もしますが、時代の流れ。わたしにとって市民球場はあこがれ。甲子園と一緒で聖地でした。監督として優勝し、ファンの方も見ているグラウンドで、ビールかけをしたのが一番の思い出。
 ▼衣笠祥雄元広島内野手の話 何百万、何千万という人が、この球場で野球を楽しんでくれた。そこで18歳から40歳までプレーできたことに感謝しています。その場所がなくなるのは残念だが、自分の心の中にはいつまでも存在し続けます。
 ▼松田元広島球団オーナーの話 (セレモニーが)無事に終わって安堵感が強い。球場みんなの思いがつながり合った。OBを呼ぶことも考えたが、日本シリーズにいく思いもあって、湿っぽいのはやめた。

 ▼広島市出身の歌手奥田民生さんの話 カープの球場といえば市民球場。変わるとは思ってもみなかった。といっても、他のチームもいろいろ変わってるし、当然と言えば当然です。来年からの新球場で選手たちはもっとパフォーマンスを上げるでしょう。カープはもっと強くなるから、それをまた見に行きます。もうすぐ黄金時代がまた来るはずです。(25日に)市民球場で最後に見た栗原の3ランはよかった。めちゃくちゃよかったです。いい球場だったのは間違いない。完ぺきな野球場でした。

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2008年9月28日のニュース