イチロー王監督の電話に「泣きそうになった」

[ 2008年9月25日 06:00 ]

 マリナーズのイチロー外野手(34)が23日(日本時間24日)、王監督の退任に複雑な表情を浮かべた。同じユニホームを着たのは初代王者となった06年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だけ。それでも王監督の人柄に最も感銘を受けた1人だった。

 「ホームランの記録だけで“世界の王”と言われているのでは絶対にない。話をされている時の表情や、あのよどみない目が真っすぐこの世界で突き進んでこられたことを表現している。同じ空間で時間を過ごさせてもらったことは宝物です」
 インターネットで退任することを知ったイチローの王監督へのメッセージは止まらなかった。初めてWBC出場を決意し、電話をかけた時のこと。「僕の電話は番号非通知になっているんですけど“はい、王です”って出ましたから。人柄が完全に出ているでしょ」。
 そして、8年連続200安打の大リーグタイ記録を樹立した時に直接電話をもらったことを明かした。米国の価値観が支配する大リーグの中で日本人が功績を残すことの難しさ、尊さをねぎらう言葉をもらったという。「泣きそうになった。この人は凄いと感動した。監督だったらこの人のためにやりたいと思う。記録やグラウンドに立つ恐怖と本当に戦ってきた人だと思った」。本塁打と安打。部門は違うが、世界一に立つ人間しか分からない苦しみがある。王監督はその部分で通じ合える存在だった。
 「人柄、器の大きさ、懐の深さ。王監督に見られると、ちょっとかなわないな、と思う。(人気漫画の)ドラゴンボールで言うとカリン様のような存在。違うかな」。最後は主人公・孫悟空の成長を支えた漫画の登場人物を引き合いに出し、王監督への感謝の気持ちを込めた。

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2008年9月25日のニュース