岩隈ビックリ!西武指揮官「20勝おめでとう」

[ 2008年9月23日 06:00 ]

試合後、通路で出くわした渡辺監督(右)から20勝目を祝福され、ビックリ笑顔の岩隈

 【楽天6―1西武】思わぬ祝福だった。西武ドームの長い階段の前で、ロッカールームに向かう西武・渡辺監督に出くわした。「いいタイミングだね~」。楽天・岩隈は一瞬、困ったような表情を浮かべたが「20勝おめでとうだね。凄いよね」という敵将の言葉に「ありがとうございます」と答え、笑顔を取り戻した。

 目の前で胴上げの可能性もあったマウンド。「テレビカメラも多かったし雰囲気はいつもと違った。でも、負けたくなかった」と意地を見せた。1点リードの2回、ブラゼルの中前打で同点とされるも、そこから崩れないのが今季の岩隈だ。3回から5回まで完全投球。7回6安打1失点で20勝の大台に乗せた。03年のダイエー(当時)・斉藤、阪神・井川以来の快挙に「素直にうれしい。チームのためにやってきた結果がこういう結果になった」と胸を張った。
 2年連続15勝を挙げた04年オフ、消滅した近鉄からトレードで楽天に移籍。2段モーション禁止の影響による肩、ひじの故障などで低迷した。06年は1勝2敗。昨年もシーズンで2度、計3カ月戦列を離れ、3年間で15勝22敗に終わった。だが、昨年10月に受けた右ひじの遊離軟骨除去手術が復活のきっかけとなった。術後は右ひじの可動域が戻り直球の威力が復活、フォークボールの落ちが増した。「2年間、チームに迷惑をかけたから取り戻したいという気持ちが強かった」。5位・ソフトバンクに1・5差に迫った好投に野村監督も「この時代に20勝は大変なこと。1人で貯金17?何で最下位におるんや」と称えた。
 残り登板数は2試合。80年の日本ハム・木田以来28年ぶりの22勝も見える。「最後まであきらめないで投げたい」。V目前の西武から主役の座を奪ったエースはチームに勇気を与える言葉を残し、悠々とバスに乗り込んだ。

 ≪エースのためなら!高須が山崎武が強力援護≫楽天打線も岩隈の好投に応えた。同点の6回1死満塁から高須の勝ち越し中前打などで2得点。高須は「クマ(岩隈)が頑張っていたから1点取ればいけると思った」と後押しに満足げ。7回にダメ押しの2点右前打など3安打した山崎武は「ここで打てば試合が楽になると思ったよ」とエースの大台到達に花を添え、胸を張った。

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2008年9月23日のニュース