星野ジャパン 初戦はキューバに敗れる

[ 2008年8月13日 20:44 ]

<日本・キューバ>キューバにリードされ重いムードの日本ベンチ。右端は星野監督

 【北京五輪 野球】1次リーグが開幕し、金メダルを狙う日本はアテネ五輪優勝のキューバに2―4で敗れ、初戦を白星で飾れなかった。日本は先発したダルビッシュ有(日本ハム)が制球に苦しんで五回途中4失点で降板。打線も前半は川崎宗則(ソフトバンク)がチャンスメーカーとなり反撃したが、後半は継投にかわされた。

 これが五輪の怖さか。満を持して金メダルを争うライバル相手に先発したダルビッシュに、マウンド上で打者を圧倒するペナントレース中の姿はなかった。5回途中、4失点で降板し、負け投手になった。

 1回からマウンドにも風圧が感じられそうなほど鋭い振りを見せるキューバの各打者に動揺したのか、制球に神経質になり過ぎていた。そして二回一死三塁。3ボールからでもフルスイングしてくる下位打者に、プレッシャーで縫い目に懸かる指先が狂ったのか、甘く抜けた変化球で先制打を浴びる。

 日本が追い付いた直後の3回にもやはり変化球が甘く入り、勝ち越し打を許した。右腕は「変化球を見られて思い切り振られた」。2―2の5回無死二、三塁で降板すると、救援した成瀬が決勝の2点打を浴びる光景を、ベンチで見詰めるしかなかった。

 「ずっと状態が良くなかった」と認めたように、本番前から不安を抱えていた。直前まで握っていたプロ野球の公式球より縫い目が高い国際球に短期間で切り替えるのに苦労しているとの指摘もあった。さらに、外角に広いとされる五輪のストライクゾーンに対応しようとしたせいか、外角球でひじが下がるなどフォームも乱していた。

 「日本のエース」と言えども、すさまじい重圧と慣れない条件下では、本来の力を発揮するのは難しいということなのだろう。ダルビッシュは「今までで一番悔しい思いをした。絶対に取り返したい」という表情に悲壮感が漂った。

 ▼星野仙一監督の話 ダルビッシュはみんなが見ての通り。緊張感の中で、本来の投球ではなかった。次もあるから、切り替えて、しっかりやってもらう。

 ◇試合経過◇

 日本はダルビッシュ有(日本ハム)、キューバは37歳のベテラン右腕・ベラがそれぞれ先発。
 日本は1回、1番・西岡(ロッテ)が中前打、2番・青木(ヤクルト)が死球で1死二、三塁の好機を築いたが、4番・新井(阪神)、5番・稲葉(日本ハム)と連続三振を喫し、絶好の先制機を逃した。
 キューバは2回、1死から6番・ベルが中越え三塁打。続くデスパイネが詰まりながらも中前に運び1点を先制した。
 日本は3回、先頭の9番・川崎(ソフトバンク)が左前打。続く西岡が右翼線二塁打で無死二、三塁とし、青木の左犠飛で1点を返し同点に追いついた。
 キューバはその裏、1死三塁から5番・セペダが右前適時打を放ち、1点を勝ち越し2-1とした。
 日本は4回、無死一、二塁の好機を築いたが、7番・里崎(ロッテ)のバントが三塁封殺となり1死に。続く宮本(ヤクルト)が三ゴロ併殺打に倒れ得点はならず。しかし5回、川崎、青木の安打と森野死球で築いた1死満塁で新井が右犠飛。再び2-2の同点に追いついた。
 ダルビッシュは5回、無死二、三塁のピンチを招いた場面で降板。2番手に成瀬(ロッテ)がマウンドに上がった。
 キューバはその好機に7番・デスパイネが左前に2点適時打。4-2と勝ち越した。
 日本は7回、先頭の川崎がこの日3安打目となる中安打を放って気を吐いたが、続く西岡が投ゴロ併殺打。ここまで3併殺の拙攻では苦しい。
 日本は8回、3番手で田中(楽天)が登板。安打と四球の走者は背負ったが、3アウトをすべて三振で取る力強い投球を見せた。
 9回の攻撃は先頭の阿部(巨人)が中前打を放ったが、里崎が三振、代打村田(横浜)が右飛、最後は途中出場の中島(西武)が三振に倒れゲームセット。
 金メダルへ最大のライバル・キューバと対した初戦は2-4で敗れた。
 (共同)

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2008年8月13日のニュース