目覚めた韓国主砲 李スンヨプ特大1号

[ 2008年7月28日 06:00 ]

<巨人・ヤクルト>6回 無死 ソロ本塁打を放つ巨人・李(後方は拳を突き上げる阿部と打球を見つめる原監督)

 【巨人7―0ヤクルト】巨人の李スンヨプ内野手(31)が27日、ヤクルト戦の6回にバックスクリーン右へ今季1号本塁打を放った。今季は不振で2軍落ちも経験した主砲が復帰3試合目で推定飛距離145メートルの特大弾。8月の北京五輪には韓国代表の主軸として出場するだけに、星野ジャパンにとっても脅威の復調となった。チームは完封リレーで今季5度目の4連勝。貯金を最多の9まで伸ばして50勝に到達した。

 李スンヨプらしい豪快な打球だった。6回、先頭で打席に入り、1―2からの4球目、内角141キロ直球を新調した黒バットでバックスクリーン右まで運んだ。推定飛距離145メートル。今季64打席目の1号に、神妙な顔つきでお立ち台に上がった。
 「完ぺきでした。ストライクを逃さずに打てた。ファームにいた時期に1軍では経験できないこともいろいろと味わった。本当にうれしい」
 屈辱を糧にした。開幕8試合目の4月5日阪神戦。不振で今季初めて4番を外された日に、1本のバットを手にした。41本塁打を放った06年モデルのバットだった。「一昨年のを自宅の片隅から引っ張り出して持ってきた。試合で打ちたいですから」。結果は3打数無安打。翌日、そのバットをケースにしまった。好調時の感覚を取り戻そうとして、フォームを崩したことに気づいた。
 本塁打を量産した2年前のフォームの改造を決意。DVDも見なかった。タイミングの取り方を試行錯誤してたどり着いた答えは、右足を上げすぎないシンプルな形だった。「手だけで打っていたので、とにかく下半身を意識した。前に出る癖があった」

 今月12日には北京五輪の韓国代表入りを表明した。「韓国の国民、後輩にも力を与えないといけない立場にいるので」。チームに貢献できていない現状と母国の期待…悩み抜いた末の決断だった。シドニーに続く2度目の五輪。00年のシドニーでは予選リーグで松坂から本塁打を放ち、3位決定戦でも松坂に決勝適時打を浴びせ日本のメダルを阻止している。「まだ試合が残っている。あすからの2試合でいい姿を見せたい。(五輪は)それが終わってからいろいろ考えたい」と思いは封印したが、国際大会で実績のあるライバル国の主砲の復調は星野ジャパンにとっても大きな脅威となる。
 代表合宿のため30日に渡韓する。それまではチームの勝利しか見えない。頼もしい男の復活に原監督も「だいぶ待ったけどね。しっかり車輪となって(チームを)前に進ませてくれるでしょう」と目を細めた。長かった2軍暮らし。李スンヨプを定期的に電話で励ましていた阿部は「凄かったねえ」と言った。李スンヨプが放った一発は2年前よりも凄みのある打球だった。

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2008年7月28日のニュース