小笠原 前夜2失策汚名返上の決勝打

[ 2008年7月24日 06:00 ]

<阪神・巨人>6回1死満塁、決勝二塁打を放った小笠原

 【巨人5―0阪神】汚名返上の一打だ。巨人・小笠原道大内野手(34)が23日の阪神戦で、6回1死満塁から0―0の均衡を破る決勝2点二塁打を放った。前日は、いずれも失点につながる2失策。責任感の強い男は黙ってバットで借りを返した。先発セス・グライシンガー投手(32)は6回1/3を無失点で2年連続の2ケタ勝利。投打がかみ合った原巨人は今季5カード目にして初の阪神戦勝ち越しを決めた。

 勝利の立役者は、笑顔を見せなかった。帰りの通路。小笠原はいつも以上に早足でバスまでの道のりを進めた。
 0―0の6回。1死満塁の場面で打席に入った。2―2からの5球目。打席から右足がはみ出そうになるほど、思い切り踏み込んだ。内角低めの147キロを叩いた打球は一塁線を破った。
 「集中していただけ。(走者を)還すことしか考えていなかった」
 前日は2失策。「負けたのはすべてオレの責任」と、1人で逆転負けを背負い込んだ。それでも責任感が強い男は、引きずることはなかった。宿舎から球場入りする際にはただ1人、チームジャンパーを着込んでいた。試合前練習では大汗をかきながら一塁でノックを受けた。猛暑への準備、試合への準備に変化はなかった。「取り返せた?全然足りないでしょう」。真剣な顔で言った。
 6回の守備中。原監督が微妙な判定に抗議に出た際に、マウンドに歩み寄った。日本語と片言の英語を交えながらグライシンガーを励ました。前日ひっくり返された、4点差での場面での冷静な行動だった。「よく分からなかったけど、打者に集中しろということだと思う。ありがたかった」。直後、ピンチを脱した右腕は、絶妙な間の取り方に感謝した。原監督は「(前日の)ああいうコメントを出せるのが彼の強さ」と感心した。
 完封リレーで今季初めて阪神戦に勝ち越した。指揮官は、均衡を破る6回の攻撃を振り返り「うちの若大将から始まって尚広、古城がつないで3、4番。理想的な展開」と、中前打で先陣を切った坂本に対して現役時代の自らの愛称を使うほど上機嫌だった。
 「少しは貢献できたかなとは思う」。失敗をすぐに取り返しても、小笠原は最後まで控えめだった。

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2008年7月24日のニュース