松坂11勝目もイチロー痛打に沈む

[ 2008年7月24日 06:00 ]

<マリナーズ・レッドソックス>八回裏、右中間二塁適時打を放った後、ロペスの適時打で生還、ベンチ前でハイタッチにはいるイチロー、マウンドに松坂

 【レッドソックス4―2マリナーズ】試合に勝って対決に敗れた。レッドソックスの松坂大輔投手(27)が後半戦初登板となった22日(日本時間23日)のマリナーズ戦で7回1/3を5安打2失点で11勝目を挙げた。しかし、今季レギュラーシーズン最後の対戦となるイチロー外野手(34)には8回に中越え適時二塁打を浴び、連続イニング無失点は24回1/3でストップ。メジャー初完封の夢も断たれた。イチローは、この安打で日米通算3000安打へ、あと6本となった。

 点差は4点。怪物と天才は対決モードに入った。8回1死一塁。松坂が投じたカウント2―2から真ん中低めの86マイル(約138キロ)カットボールをイチローは中越えへ運んだ。松坂の連続イニング無失点は24回1/3で止まった。今月2日レイズ戦の初回にロンゴリアに適時打を許してから実に102人目の適時打。それがイチローだった。
 松坂 きょう完投しなかったら“いつするんだ”って感じ。(打たれた球は)当然イチローさんの頭の中にもあったと思う。打たれて当然。
 イチロー (適時打した球は)待ってはいないよね。(松坂は)真っすぐがよかった。それが本来のスタイルだと思う。僕にとっては普通。彼にはこれくらいやってもらわないとという感じ。
 初回はニゴロで、その後は2連続四球。もう歩かせたくないという意識が松坂の指先に微妙な影響を与えた。「サインは外だったけど、やはり“四球は嫌だ”という僕の心理が真ん中に投げてしまったんじゃないか」と松坂は揺れ動いた心を説明した。
 見逃せばボールの球を仕留めたイチロー。凡退なら今季初の3試合連続無安打となり、打率も3割を切っていた。松坂には昨季12打数1安打だったが、今季は4打数3安打。08年最後の対決で先輩の意地を示した。
 06年のワールド・ベースボール・クラシックではエースと主力打者としてチームを世界一に導いた。最高レベルの才能を持つ2人がすべてをぶつけ合う瞬間はここしかない。不思議と登板が重なるためシアトルで食事をする約束は実現できていないが、グラウンド上の“会話”で十分だった。
 松坂 いくら説明してもすべては多分理解してもらえない。言葉で(説明できるのは)6、7割ぐらい。目に見えないものも当然かかわってくる。
 イチロー そこ(マウンド)にいるのは松坂大輔ですからね。それは楽しい。(同じ安打でも)大輔でプラスアルファがある。
 松坂はイチローに敗れた。だが収穫はしっかりと手にしていた。「シュート(ツーシーム)のコントロールが良かった。球数を少なくしていくことができた要因の1つ」。4回無死一、二塁で右打者ベルトレを1球でニゴロ併殺に仕留めた。ビドロ、イバネスは左打者へは実戦初披露となる内角のボールからストライクになるツーシームで見逃し三振。優勝争いを勝ち抜く「引き出し」を増やした。
 イチローは「そんな簡単に勝ち負けはつけられない。僕とあいつの中には(勝敗の判断は)ないと思う」と言った。日米通算3000安打まであと6本の天才。そして世界一軍団のエースになろうとしている怪物。2人の戦いを見ることは、日本最高峰の対決を味わうことでもある。

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2008年7月24日のニュース