杉内 新兵器まとって負け知らず

[ 2008年7月22日 06:00 ]

<ソフトバンク・オリックス>ファンの祝福を受ける杉内

 【ソフトバンク8―6オリックス】ゲームセットの瞬間、ソフトバンク・杉内の表情がようやく緩んだ。7点差でマウンドを譲った9回、リリーフ陣が崩れて2点差に迫られたが何とか逃げ切り。左腕はホッとして勝利のハイタッチをかわした。

 「初回はへろへろで、どうなることかと思ったけど。調子が悪いなりに、気持ちを切らずに投げられた。きょうのピッチングはある意味で自信になった」と話す通り、決して調子は良くなかった。先制点をもらった直後の2回に失点するなど、本来の投球ではなかったが「内を間違えなかったら簡単には打たれない」と強気な気持ちだけは失わなかった。3回以降、走者を背負っても決定打は許さなかった。
 3連勝で9勝目。好調の裏には“秘密兵器”の存在があった。アドバイザリー契約を結ぶアシックス社製の「HIGH―FITシャツ」は特殊技術で、肌面の生地組織を凸凹化することで、発汗時のべたつき軽減に成功。軽量化、速乾性にも優れ「着心地がいいから投げやすい。気に入ってるよ」。今春キャンプから試作を繰り返し、交流戦中にサンプル品が完成。8日の西武戦(西武ドーム)で本格的に着用してからは負け知らずだ。
 杉内は17日に発表された北京五輪の日本代表に選出された。アマチュアだった三菱重工長崎時代に出場した00年シドニー五輪、米国戦では延長13回にサヨナラ2ランを浴びて敗戦投手となった。06年WBCでも2戦で3回1/32失点と代表のユニホームでいい思い出はない。その中で今季は序盤から「チャンスがもらえたら、やり返したいね」と大舞台での雪辱を誓って、目標をかなえた。
 プロ入り以来、2年連続10勝以上がない。あと1勝で昨季に続く2ケタ勝利とあって「それはいきたい。“隔年”って、みんな言うからね」。新兵器とともに杉内が熱パ、そして酷暑の北京を乗りきる。

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2008年7月22日のニュース