球宴“顔”イチロー 2年連続MVP宣言

[ 2008年7月16日 06:00 ]

大リーグオールスター戦の前日練習を終えたマリナーズのイチロー。「1番・右翼」で出場

 大リーグの第79回オールスター戦は15日(日本時間16日)、今季を最後に取り壊されるヤンキースタジアムで開催される。ファン投票で選出されたマリナーズのイチロー外野手(34)は「1番・右翼」、カブスの福留孝介外野手(31)は「8番・中堅」で先発出場する。14日は前日会見が行われ、イチローは史上初の2年連続MVPを狙うと宣言。思い入れの強い“聖地”でプレーするのはおそらく最後となるだけに、主役の座は譲らない。

 ニューヨーク市内のホテルで行われた球宴前日恒例の会見。イチローは淡いピンクとブルーのネクタイに黒のシースルージャケットという“セクシー衣装”で現れた。会場にはスター選手がズラリと並んだが、存在感は際立っていた。報道陣の人垣は50分の制限時間いっぱいまで解けることはなかった。
 「かなり地味でビックリしました。過去8年で一番地味なメンバー。僕がここにいなきゃいけない、そう朝思いました」
 確かに今年の球宴は64選手中、初出場が28人とフレッシュな顔ぶれ。しかし、そんな感情を抱くのも、メジャーにおけるイチロー自身の存在価値が年々上がってきた証。8年連続で夢舞台に立つ男には、一段上から見下ろす貫禄があった。
 昨年は球宴史上初のランニング本塁打を含む3安打で日本人初のMVPを受賞した。79回目を迎えた球宴の歴史で2年連続で獲得した選手はいない。「そのチャンスがあるのは僕だけ。もちろんそういう意識は持ってますけどね」と高らかに宣言。その上で「それを僕が成し遂げるのもどうかと思いますけど」と余裕のひと言も付け加えた。
 イチローに言わせれば「特別な球宴」となる。日本での7年連続を超える8年連続出場。「今までは自分の力以上の評価をされて、それに追いつき、超えていった。それは日米ともに同じサイクル。でも8年目、というのはなかった」。常連を通り越し“顔”となり「ここから先は日本でもなかった時間。そこに期待している」と言った。
 そして、最後のシーズンとなるヤンキースタジアムも血をかき立てる。昨年は7年連続200安打をクレメンスからの本塁打で決めた地。今季は同球場での試合は既に終了し、プレーオフ進出が絶望的なチーム状況を考えれば、これが最後となるのは間違いない。「もう終わっているはずのことだったので、大きなオマケ」。このチャンスを生かさない手はない。
 公開練習では球宴用に新調したシルバーのスパイクを披露し、得意の背面キャッチを連発した。昨季のランニング本塁打を上回るインパクトはあるのか。イチローは言った。「あるでしょ。だってピッチャーだってあるもん。まだやってないからね。日本ではやりましたけど」。この男、今年はどんな驚きを与えてくれるのだろうか。

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2008年7月16日のニュース