斉藤三代目引っ張った 銚子商コールド発進

[ 2008年7月13日 06:00 ]

<銚子商・勝浦若潮>3年ぶり甲子園へ力を込める斉藤之将選手(左)と斉藤監督の斉藤親子

 第90回全国高校野球選手権記念大会(8月2日開幕、甲子園)の地方大会は12日、7大会が開幕。全国52地区で445試合が行われた。東千葉大会では銚子商が斉藤俊之監督(49)の長男・之将(ゆきのぶ)外野手(3年)の活躍で勝浦若潮を下した。また南埼玉大会では今センバツ準V・聖望学園が初戦敗退する波乱があった。13日はセンバツを制した沖縄尚学―浦添商の沖縄大会決勝を含め、全国53地区で472試合が行われる。

 【銚子商10―0勝浦若潮】最後の夏の初打席。1―0の2回1死三塁からスライダーを中前にはじき返すと、斉藤は何度もベンチの父をのぞき込んだ。「叩きつけることだけ考えました。自分を信じて打席に立ちました」
 試合後も興奮を隠せない斉藤に、自宅でも「監督さん」と敬語を使わせる父は少しだけ笑顔を見せた。「2点目が欲しい場面での安打は評価できる」。斉藤の適時打が呼び水となり、チームは3年ぶりの甲子園へコールド発進だ。
 祖父・一之さん(89年死去、享年60)は「黒潮打線」を育て上げ74年全国制覇を達成した名将。その祖父の下、2度甲子園に出場した父が率いる古豪に、斉藤が進学を決意したのは中3夏だった。他校への進学を希望していたが、父が05年全国へ導くと「オヤジと甲子園を目指す」と心境が変化。同時に3年間の“親子断絶”も決定した。
 スタンドで姿を見守った母・正代さん(48)は「昔は2人で魚釣りや昆虫捕りに行ってました。今は家での会話は少々。私が笑いをふりまいています」と苦笑いを浮かべる。この日朝、2人は別々に祖父の墓前に赴いた。願いは同じ。「天国から甲子園に行く姿を見届けてくれ」だ。
 父の評価を聞いた斉藤は「褒められるのは初めて」と驚きの表情。父は今までかたくなに断っていたツーショット写真に納まるなど優しさも見せた。再び全国に“CHOSHO”をとどろかせるために…。斉藤家3代の長い夏が始まった。

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2008年7月13日のニュース