巨人「こういう野球人生」で輝くベテラン

[ 2008年6月10日 07:17 ]

 人気アイドルグループSMAPの木村拓哉と同じ1972年生まれの36歳。巨人の“キムタク”こと木村拓也は、球界きってのユーティリティープレーヤーだ。

 今季は一塁、二塁、三塁を守った。二岡がけがで戦列を離れる際は、首脳陣から「遊撃手もできるか」と聞かれ「もちろんできます」と答えた。試合中に守備位置が変わることも多く、遠征には外野用を含めて5種類のグラブを持って出る。
 日本ハム入団時は右打ちの捕手だった。強肩と俊足を買われて外野手に転向。広島に移ると「正田さんの後釜を狙うしかなかった」と二塁手に挑戦。さらに「どうやったら生き残れるかを考えた」と左打ちもマスターした。
 守備位置だけでなく、打順でも使い勝手は抜群だ。今季はつなぎ役として2番、7番、8番に入るのが多くなっているが、相次ぐ主力の離脱で5月26日の日本ハム戦では3番を任され、先制2ランを放って勝利に貢献した。
 原監督は「本当に頼りになる」と目を細める。必死に出場機会を求めてもがいてきた男は、チームにとって欠かせない存在となった。明るく親分肌の性格も、移籍選手が多い巨人にあっては魅力となっている。
 プロでは投手以外、すべてのポジションで出場したベテラン。「自分にとって、トレードはプラスだった。選手としての幅を広げてくれた」と17年目に入ったプロ野球人生を振り返る。
 「一流だけが選手じゃない。こういう野球人生もある」と木村拓。その信念と努力は、“優等生”の多いジャイアンツに、野球に対する別角度からの考え方を示すいいお手本だ。

 ◆木村 拓也(きむら・たくや)宮崎南高から91年にドラフト外で日本ハムに入団。トレードで95年に広島に移籍し、06年から巨人でプレー。173センチ、75キロ。右投げ両打ち。36歳。宮崎県出身。

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