不調でもマー君大量援護で6勝目

[ 2008年6月4日 06:00 ]

<楽天・阪神>お立ち台の楽天・田中は、隣の中島にあびせられた放水攻撃にびっくり

 【楽天11―4阪神】マー君が猛打を呼び込んだ。楽天・田中将大投手(19)が3日の阪神戦で6回2/3を4失点ともがきながら6勝目を挙げた。それでも打線は中島俊哉外野手(27)の2号ソロなどで40歳・下柳を3回6失点でKO。中盤以降も加点するなど阪神から今季初の2ケタ得点を奪う大勝で、貯金は再び球団最多タイの4、交流戦首位タイもガッチリキープした。

 もがきながらも勝ちがつく。ジレンマを抱えた19歳のヒーローインタビューは歯切れが悪かった。ロッカーへ続く狭い通路で野村監督から厳しい注文が飛んだ。「まあまあ良かったな。でも内容は悪いぞ。原因究明しろ!」。指揮官の背中に田中は「ハイ」と苦笑いするしかなかった。
 6回2/3を4失点も6勝目。お立ち台でも謙虚だった。「本来ならここにいるのもおかしいけど、皆さんに助けられて勝てて良かった。白星をつかんだけど、まだ納得いく投球はできていない。良くない結果だけど勝てたので良かった」。初回1死二塁から新井の中越え二塁打で先制を許すと、3回には金本の中前打で2点目。7回1死一塁では関本の左中間二塁打で4点目を失うなど、7回途中で降板した。自己最速タイの152キロもマークしたが、3者凡退に抑えたのは6回だけと苦投が続いた。
 それでも打線の猛攻を呼ぶのが“神の子”たるゆえん。ここまで5勝無敗、セ・リーグ防御率2位の下柳から3回までに6安打6点を奪い粉砕した。4回以降も攻撃の手を緩めず、計14安打11テ点と今季両リーグ初めて阪神から2ケタ得点を奪取。田中は交流戦5勝1敗となったが、4勝まで10点以上の援護を受けたことになる。野村監督は「不思議なことに投げると点を取る。なんなんだろうな」と神通力をあらためて認めた。
 40歳左腕との21歳差対決。それでも19歳右腕は冷静だった。「意識はしていないですよ。だって下柳さんとはタイプも違うし、意識することはなかった」。相手どうこうより、まずは自分の投球に集中。紀藤投手コーチが「阪神戦の頭を取りたいから」と中8日での登板で貴重な白星を引き寄せた。
 これで交流戦首位をキープし、貯金も再び球団最多タイの4。だが「知ってはいたけど、意識はしてなかった」と野村監督が素っ気ないのは田中への不安があるからだ。「マー君は今年、心配だ。内容が良くない。どうしたもんかな。とにかくコントロールが悪い。リズムかバランスが崩れているな。どこが悪いか考えないと立ち直れない」。裏を返せばそれでも勝つ潜在能力は、計り知れない。「今はチームの調子がいい。チームが苦しいときに支えられるピッチャーに、なれるように頑張りたい」と前を向いた田中が苦しみを乗り越えたとき、もっと大きな進化を遂げる。

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2008年6月4日のニュース