G・G・佐藤 “恩をあだで返す”

[ 2008年5月15日 06:00 ]

<ソフトバンク・西武>4回無死、左越えソロを放ちナインとタッチするG・G・佐藤

 【西武11―4ソフトバンク】西武は4発で王ソフトをKOした。パ・リーグ首位を快走する西武は14日、G・G・佐藤外野手(29)、ヒラム・ボカチカ外野手(32)がそれぞれ2発ずつ、計4本塁打など打線が大爆発。12安打で11点を奪ってソフトバンクを粉砕した。2位・日本ハムとは今季最大タイの6ゲーム差。貯金13とした“西武特急”の勢いは止まる気配がない。

 1試合2発でもG・G・佐藤は浮かれていなかった。試合後のヒーローインタビュー。98キロのマッチョマンはまるで修行僧のようだった。
 「調子のいい原因なんて分からないです。いつ打てなくなるかという不安と闘っている。まあ結果が出ているんでよくやっているな、とは思いますけど…」
 過去は振り返らず、常に前だけを見据える。それが“GG流”だ。
 1発目の“波動砲”は4回。ガトームソンの初球142キロの直球をフルスイング。左翼・大村が一歩も動かないほどの豪快な一撃だった。ヤフードーム左翼席中段にライナーでぶち込む10号ソロに「いくとは思わなかったですよ」と素っ気ない。5回1死一、二塁では138キロ直球を今度は高々と左中間へ。2打席連続となる11号3ランで試合を決めた。
 “1杯のかけそば”ならぬ“1杯のうどん”がこの日のG・G・佐藤の力の源だった。移動日の12日。大久保打撃コーチらと宮崎市内の釜揚げうどん屋を訪れると、そこには王監督の姿があった。恐縮しながら釜揚げうどんを食べ、宿舎へ帰ろうとすると、何と王監督が全員分のお勘定を済ませていたのだ。恩義を忘れない男らしい2本の豪快なアーチ。手痛すぎる“恩返し”に王監督はベンチで渋い表情を浮かべるしかなかった。
 体調管理にも余念はない。試合前は、ヤフードームに隣接する宿舎の風呂につかって入念にストレッチ。「宿舎の中で一番いい風呂なんです。福岡に来たらルーティンですね」と話すお気に入りの場所で英気を養った。
 G・G・佐藤に触発された“恐怖の9番”ボカチカも4、7回にそれぞれ2ラン。締めて4発。42試合でチーム60本塁打はシーズン206発ペースだ。「非常にいいところで勢いのつく本塁打が出た」と渡辺監督も笑顔が絶えない。しかしG・G・佐藤はこう締めくくった。「まだ5月ですから」。最高の喜びはシーズンが終わるまで封印しておく。それまでは打って、打って、打ちまくる。

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2008年5月15日のニュース