“BIG3”で先駆け 唐川初先発初勝利

[ 2008年4月27日 06:00 ]

<ソフトバンク・ロッテ>プロ初先発で初勝利の唐川

 【ロッテ6―1ソフトバンク】平成生まれの1勝一番乗りだ――。ロッテの高校生ドラフト1巡目ルーキー、唐川侑己(ゆうき)投手(18=成田)が26日、プロ初登板初先発となったソフトバンク戦で7回無失点の快投。うれしいプロ1勝を挙げた右腕に、バレンタイン監督は今後のローテーション入りを確約した。日本ハム・中田、ヤクルト・由規と並んで“高校BIG3”と呼ばれた中、唐川がライバルに先駆けて、プロの世界で名を残した。

 まだあどけなさが残る18歳の顔に、ぎごちない笑みが広がった。7回3安打無失点。歴史的初勝利を挙げた唐川は、左翼席のロッテファンに向かって駆けていった。
 「試合後の方が緊張しました。(投球は)球自体は納得していない。ただ、途中からはマウンドに慣れてきたんで、余裕を持って堂々と投げられました」。18歳右腕は初登板で三塁を踏ませぬ内容にも不満を漏らした。
 気負いもなければ敵地の声援にも動じない。最速146キロの直球は威力十分。覚えたてのチェンジアップなど変化球もさえた。初回いきなり川崎を空振り三振。続く仲沢にはカウント2―1から橋本のサインに首を振って141キロ直球で連続空振り三振だ。柴原に左前打を許したが、松中をスライダーで空振り三振。波に乗って7回まで0を並べた18歳は「初めてのドームは空が見えなくて不思議な感じ。途中まで夜だって忘れていました」
 3月16日のオープン戦。右手親指のツメが引っかかって中指の先を切った。高校時代から割れやすかったツメはその後、先輩、小野の亜希子夫人が経営するネイルサロンに通って入念にケア。DVDで自分の投球フォームを分析するなど、プロとしての自覚も芽生えてきた。球場入り前は、同じルーキー伊藤と外食。ラーメン、ギョーザにライスをペロリと平らげるなどリラックス。昨夏、知人を通じて親交が始まり、高校のグラウンドで一緒に練習したこともある大場とのルーキー対決を堂々の内容で制した。
 “高校BIG3”と騒がれた逸材も、将来のエース候補としてじっくり育成するチーム方針でキャンプから2軍スタート。イースタン3試合で防御率1・80。久保の不調もあって1軍昇格を果たすと、高卒ルーキー一番乗りの白星をつかんだ。今季初の5連勝を呼ぶ快投にバレンタイン監督は「もう少し投げさせられたが、残った球数はシーズン最後にとっておいてもらいたい。次は地元で投げる」とローテーション定着を明言。「私にとっても長く忘れられない日になった」と続けた。
 次回は5月3日の西武戦、千葉マリンで凱旋登板だ。両親に贈るウイニングボールをポケットに入れた唐川は「家族も知り合いも来るし、千葉でも勝ちたい」と胸を張った。千葉の希望の星が刻んだ歴史的1勝は、まだ“エース道”の序章に過ぎない。

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2008年4月27日のニュース