8回からクルーン なりふり構わぬ1勝 

[ 2008年4月18日 06:00 ]

<中日・巨人>8回からリリーフしたクルーン(右)を迎える原監督

 【巨人1―0中日】“奇襲返し”で同一カード3連敗を免れた。巨人は17日の中日戦で、今季初めてマーク・クルーン投手(35)を8回途中から投入。祖母の葬儀に参列するため、18日に米国に一時帰国する守護神は打者5人から3奪三振の完全救援で今季5セーブ目をマークした。序盤からバントを指示するなどなりふり構わぬ戦い方で1―0の勝利。原巨人は大きな“目先の1勝”をもぎ取った。

 ゆっくり三塁ベンチを出た原監督は球審に投手交代を告げた。1―0で迎えた8回1死二塁。もう1点もやれない。外野は前進守備。長打も避けたい場面だ。「グライシンガーに代わって、ピッチャー、クルーン」のアナウンスに、中日ファンだけでなく、名古屋のG党までもがどよめいた。
 セットアッパーの豊田を飛ばし、今季初めて8回から守護神を投入した。中日・落合監督のお株を奪う“奇襲策”。18日には3月に亡くなった祖母の葬儀に出席するため、米国に一時帰国(22日に再来日)するクルーンも奮起した。李炳圭(イ・ビョンギュ)、ウッズをともに140キロを超える高速フォークで見逃し三振。MAX158キロも計時して9回も3者凡退に抑えた。試合前のミーティングでは私事で帰国することをナインの前で謝罪した右腕は「準備はできていた。帰国する前に勝ててよかった」と胸をなで下ろした。
 なりふり構わず1勝を目指した。敵地での中日3連戦で借金完済を狙ったが、上原、内海で連敗を喫して借金5。前日は先発を想定していなかった伏兵左腕の川井にプロ初勝利も献上した。まさに正念場。グライシンガーは7回1/3まで高橋由のソロで挙げた1点を死守した。依然、打線は低調だが、ベンチは2回無死一塁で5番・阿部に送りバントを指示。結局、失敗に終わったが阿部は「どうしても勝ちたいという思いが伝わってきた」と振り返った。3回無死一塁では2球連続で送りバントに失敗して追い込まれた古城が内角球を右ひじに当てて出塁を試みる(判定はボール)執念も見せた。
 チームが投打で低迷する中、執念の継投で昨年6月11日の日本ハム戦(東京ドーム)以来の1―0勝利。借金を4に戻し、4位に浮上した。「逆風の中で奇襲的な考えも必要になってくる。方程式の野球に当てはまらない部分もあるから」。中日への見事な“奇襲返し”。白星をもぎ取った原監督は、そう言って目をギラつかせた。

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2008年4月18日のニュース