松坂 消化不良も「次頑張ります」

[ 2008年3月26日 06:00 ]

<アスレチックス・レッドソックス>開幕戦に先発し5回2失点で降板した松坂

 【レッドソックス6―5アスレチックス】「1億ドルの男」が再び日本のマウンドに立った。大リーグの今季開幕戦、アスレチックス―レッドソックスが25日、東京ドームで行われ、レ軍は松坂大輔投手(27)が、04年の野茂英雄(当時ドジャース)以来、日本人2人目の開幕投手として先発。6四死球と制球に苦しみ、5回を2安打2失点で勝利を飾れなかったが、日本のファンの目に2年ぶりの雄姿を焼き付けた。チームは延長戦を制し、岡島秀樹投手(32)が“凱旋勝利”を手にした。

 悔しい気持ちは押し殺した。私服に着替えてから会見場に現れた松坂は、穏やかな口調で今季の初登板を振り返った。
 「開幕戦に投げさせてもらえて多少、力が入りすぎた。できるだけ長いイニングを投げたかったからファンには申し訳ない。でも見に来てくれた人には面白いゲームだったと思う。僕自身のことはまた次に頑張ります」
 06年6月2日の巨人戦以来、実に662日ぶりの東京ドーム。ファンが心待ちにしていた凱旋登板は、腰痛で来日できなかったベケットの“代役”とはいえ、日本人2人目の開幕投手としてその名を歴史に刻んだ。
 初回には2番エリスに甘く入った直球をソロ本塁打されるなど2失点。それでも粘った。2回2死満塁のピンチは141キロのカットボールで4番カストを空振り三振。3回以降はふくらはぎがつりそうになったのが奏功し、力みがとれ、乱れていた制球が落ち着いた。カーブ、チェンジアップと緩い変化球をうまく使い、5回には3、4番から連続三振を奪うなど5回を2安打2失点。球数が首脳陣が設定していた90球を超える95球に到達したため“強制交代”となった。最初は続投を志願した松坂だったが「結局タネをまいたのは自分。すぐティート(フランコナ監督)にわがままを謝りました」。すぐに気持ちを切り替え、交代した後もベンチに戻り、勝利を信じて応援。10回にラミレスが決勝打を放つと、人さし指を立てながら立ち上がって喜んだ。
 この日を見据えて、しっかりと準備はしてきた。今季は球数を減らすことをテーマに掲げ、キャンプでは昨季ほとんど投げていなかったツーシームに磨きをかけた。その一方、横浜高時代から絶えず続けている“作業”もある。「球を強くはじく」イメージの直球を磨くため、春先は毎年指先を厚くする。高校時代は合宿所や授業中に、机を何千、何万回とトントン叩き続け“タコ”をつくった。「今は壁とかテーブルとかでやっている。昔は友達にうるさいって顔されたけど、もう気にならないみたい」。地道な準備は海を渡っても変わらない。固まった指先をふやけさせないよう、風呂に入る時は指先を絶対に水につけずに入るなど、ケアも怠っていない。「何事も小さいことの積み重ね」。細部にこだわり努力するからこそ、今の松坂がある。
 制限がある中での投球でも、母国のファンに雄姿は見せられた。あとは勝利だけ。「しっかりと反省して次に生かしていきたい」。悲観することは何もない。この悔しさを次につなげてみせる。

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2008年3月26日のニュース