987日ぶり勝利で野茂また一歩前進

[ 2008年3月12日 06:00 ]

<ロイヤルズ・ジャイアンツ>先発し、3回を2失点で勝利投手になった野茂

 【ロイヤルズ15―6ジャイアンツ】ロイヤルズとマイナー契約した野茂英雄投手(39)は10日(日本時間11日)、ジャイアンツ戦でオープン戦初先発。3回を2失点にまとめ、勝利投手になった。メジャー相手の“白星”はデビルレイズ(現レイズ)時代の05年6月27日のブルージェイズ戦以来、987日ぶり。先発枠を争うライバルたちが苦戦する中、開幕メジャーへ向けアピールに成功した。

 約3年ぶりの“白星”よりも、自分の球に手応えを感じたことが大きかった。オープン戦3度目で初めて巡ってきた先発のチャンス。3回を2失点に抑えた野茂は「初回は高めに浮いて安打が続いてしまった。コース違いもありましたけど、別に悪い球じゃないと思っている。調子自体は良かった」と振り返った。
 序盤は球が上ずった。先頭のロバーツをフォークで見逃し三振に仕留めたが、連続長打を浴びて早々に失点。早いカウントから高めに抜ける直球を狙われた。2死からオリリアに許した左前適時打も高めの直球。いつも口にしていた低めへの制球は、この日も課題のまま残った。
 それでも2回には、ロバーツの初球に今年最速の142キロを計測。05年の右ひじ手術前と同じ球威が戻ってきた。試合前には捕手のオリボにスライダーを多く配球するように要求。50球のうち11球を投げ、フォークの縦の変化にスライダーで横の揺さぶりを加えたことも効果的だった。2、3回は走者を出しながらも無失点。ヒルマン監督は「試合を支配していたのが良かった。真っすぐの球威が戻ってきたし、成長し続けている」と評価した。
 ここまでチームで2番目に多い8イニングを投げ、防御率は2・25。8人で2枠を奪い合う先発争いでアピールを続けている。野茂のほかには元広島のベイルや、いまだに無失点のホークバーが有力候補となるが、それ以外は軒並み乱調。先発4番手として獲得した通算93勝のトムコは、次に結果を出さなければ中継ぎ降格が決まった。招待選手の野茂の厳しい立場は変わらないが、追い風が吹き始めているのも確かだ。
 既に投手6人を含めた10選手がマイナー落ち。サバイバルはさらに激しさを増していくが「見極めるのは首脳陣、球団なので何とも言えないですけど、十分楽しんでやっています」と気負いはない。次回は15日のブルワーズ戦が有力。その後は21、26日のマリナーズ戦でイチローや城島と対戦する可能性もある。残り3度の登板で悲願の開幕メジャーをたぐり寄せる。

続きを表示

2008年3月12日のニュース