足もあります中田 盗塁に好走塁見せた

[ 2008年3月3日 06:00 ]

<中日・日本ハム>9回2死一塁 紺田の中前安打で二塁から決勝ホームに転がり込んだ中田、捕手・清水将

 【日本ハム4―3中日】怪物が“足”で08年チーム初白星をもぎ取った。日本ハムのルーキー中田翔内野手(18=大阪桐蔭)が2日、中日とのオープン戦(北谷)に7番・DHで出場して3打数1安打。四球で出塁した9回にプロ初盗塁をマークすると、その後の中前打で二塁から一気に本塁突入。猛スライディングで決勝のホームを奪うなど、この試合は“足”で球場を沸かせた。キャンプからオープン戦と1カ月以上続いた沖縄の舞台は最後まで中田が主役だった。

 迷いはなかった。同点の9回2死二塁。前進守備の中堅・中村一の前に落ちた打球にもかかわらず、中田は一気に三塁を蹴り飛ばした。
 「“アウトや”と思ったので必死でした」。鬼の形相で本塁突入。タッチにきた捕手・清水将の背後に回り込むと左腕をグイッと伸ばしてホームに触れた。勢い余って一回転した頭上で“セーフ”のコールが響いた。
 昨年の日本シリーズの借りを返し、オープン戦初白星を引き寄せた激走に真喜志三塁コーチは「最初から(ゴーの)右腕を回したわけでないが、最初からスピードを緩めないでき来てくれた」と中田の“必死さ”を評価。梨田監督も「体当たりじゃなくて、うまく回り込んだね」と巨体に似合わない技術に目を細めた。
 この回は先頭で四球を選ぶと1死後にプロ初盗塁。サインはヒットエンドランだったが打席の飯山が空振り。結果的には高卒ルーキー8年ぶりのオープン戦盗塁成功となった。中前打した4回も金子誠の左前打で一塁から一気に三塁を陥れる好走塁。「自分は足を生かす選手じゃない。ただ一生懸命さはアピールできた」と胸を張った。
 100キロ近い体重でも、50メートルを6秒2で駆け抜ける。ただし小、中学時代から規格外のパワーで長打が多く、盗塁の機会は少なかった。広島鯉城シニア・国吉事務局長は「足は速いが、試合で単打を打つことがないので」と証言。大阪桐蔭でも「記憶にないけどゼロでないことは確か…」と本人が振り返るほどで、3度出場した甲子園でも盗塁は記録していない。
 試合前のフリー打撃は話題のルーキーを一目見ようと、中田の打席で一塁ベンチに中日ナインが勢ぞろいした。24スイングで7発のサク越え。21スイング目の左越え場外弾には敵地のスタンドから拍手が起こった。そんな異様な光景にさすがの中田も「中日にはウッズさんとかいるから、別に誰も驚かないはずなのに」と目をパチクリ。怪物はどこにいっても主役だ。
 打つだけではない。必死に走って、必死に守る。ひたむきな18歳は大きな戦力。3日夜には札幌へ凱旋する。ファンの誰もが中田をV3の使者として期待している。

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2008年3月3日のニュース