中田に“メス”石井浩郎参考に修正だ

[ 2008年2月23日 06:00 ]

バランスを崩された時の中田の打撃フォーム

 日本ハムの高校生ドラフト1巡目・中田翔内野手(18=大阪桐蔭)の打撃に“メス”が入ることになった。ここまで中田の打撃に関しては放任主義を貫いてきた梨田監督だが、練習試合で9打席連続無安打とプロの壁にぶち当たっている現状を打開しようと決断した。修正ポイントは軸足となる右足の使い方。元近鉄の石井浩郎の技術を参考に、実戦を経験させながら、怪物の改造に着手していく。

 梨田監督が悩める中田に救いの手を差し伸べた。ここまで怪物ルーキーを放任してきたが「最初はボディーターンで打っていたけれど、力みから体が流れている。上下のバランスがいまひとつ。気付いたことを、そろそろ言っていこうかな」と修正に乗り出す考えを示した。
 素材は超一級品。フリー打撃でスコアボード越えの155メートル弾を放ち、10日の練習試合・阪神戦(名護)でも左中間場外へプロ1号を運んだ。規格外のパワーに、スター性も備える18歳。だが、このままプロで通用するほど甘くはなかった。
 ポイントは怪物パワーの原動力となる軸足(右足)の使い方だ。現在の中田は右足にしっかりと体重が乗らず、左足を踏み出した際に力が逃げ、腰の回転もスムーズではない。そのため上体でボールを追いかける悪癖が顔を出している。平野打撃コーチは「右足の使い方がヘタクソ」と指摘。崩れかけているフォームが手遅れにならないうちに、夜間練習なども含めて修正に着手していく方針だ。
 お手本とするのが近鉄、巨人などで活躍した石井だ。「打ち方やスイングの軌道は(中田と)似ている。軸足を押し出す形を参考にできれば…」と同コーチ。猛牛いてまえ打線をけん引し、4番として362試合連続出場。94年のパ打点王に輝いた侍スラッガーの軸足の使い方を会得できれば、天性のパワーに確実性も加わる。
 中田自身も試行錯誤を繰り返している。構えではグリップの位置を腰から肩下まで引き上げ、バットもバランスや素材の異なるものを試している。だが、この日のフリー打撃では37スイングし、サク越えは3発。独特の放物線は消え、ラインドライブが目立っていた。
 「(コーチの)話を聞いて、自分の考えを重ねていきたい」と中田。すでに3月のオープン戦帯同も内定しているが「目標は開幕1軍と新人王。そのためには試合に出ないと…」と危機感を持ち、好待遇に甘えるつもりはない。新たな怪物スタイルが完成したとき、再びその打棒は爆発する。

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2008年2月23日のニュース