【ROOKIES 猛虎ファイル】ドラ5石黒(3) のちの中日ドラ1石川昂を擁する東邦を撃破

[ 2023年12月25日 05:15 ]

星城時代の石黒(藤原波一教諭提供)
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 ドラフト5位・石黒佑弥投手(22=JR西日本)は最速152キロを誇る本格派右腕だ。小、中学時代に土台を築くと、星城(愛知)3年夏の愛知大会2回戦で石川昂弥(現中日)擁した同年の選抜優勝校・東邦を破って一躍、注目を集めた。社会人のJR西日本では人生初の全国舞台でも物おじせぬマウンド度胸を発揮。着実に成長を遂げ、評価を高めてプロ入りに至った右腕の軌跡をたどった。 (八木 勇磨)

 【高校・社会人時代】星城では1年春からベンチ入りを果たしたが、主戦として期待された2年春にアクシデントが起きた。高校野球の練習試合が解禁となる3月第2週、彦根東(滋賀)との一戦で、佑弥は右ひじを痛めた。宮地正部長(28)は「寒かったのもあったと思う」と回想。無理はさせず、当面は打者に専念させた。

 順調な回復を見せ、夏には間に合った。愛知大会2回戦の愛工大名電との試合に、背番号「10」を背負って先発した佑弥だったが、2回6失点でノックアウトされた。130キロ台中盤の直球では、甲子園常連校に難なく打ち返された。2年秋からは背番号「1」に。誰からも愛され、部内で模範的な存在だった佑弥は、名実ともにチームの中心選手となっていった。高校時代のハイライトは3年夏。愛知大会2回戦で、同年のセンバツ優勝校・東邦と当たった。その秋にドラフト1位で中日へ入団する石川昂弥を擁する難敵を見事に撃破。佑弥自身も石川昂から本塁打を放つ活躍を見せ、最終的に8強入りを果たした。

 最後の夏が終わった直後、JR西日本の練習に参加した。視察した同社首脳陣が獲得を即決するほどの潜在能力だったという。プロ入りを夢見て、佑弥は地元を離れる決断を下した。佑弥の入社当時は野手コーチで、現在は監督の田村亮さん(44)は「何とかこの子をプロに入れなければいけない」と当時から期待を寄せた。

 1、2年目は徹底的に基礎をつくり、3年目から主戦を任された。同年は都市対抗に出場。準々決勝で破れたものの、今秋ドラフトでDeNAと中日に1位指名された度会隆輝を擁するENEOSに佑弥は真っ向勝負。この度胸がスカウトの目に留まり、4年目の今年、念願のプロ入りを果たした。「環境は整っている。あとは自分次第」。阪神入団会見で佑弥は並々ならぬ決意を語った。一日も早く、支えてくれた恩師たちへ、1軍での雄姿を届ける。

 ※ドラ5石黒の稿は終わり

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