涙から8年後の笑顔…楽天・今江新監督のファミリー変革で歓喜の笑顔と涙を

[ 2023年10月26日 08:00 ]

今江
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 23年10月17日。楽天モバイルパークで就任会見に臨んだ楽天・今江敏晃新監督(40)は笑っていた。「監督もやってみたいという気持ちはありましたし…。え~、あの…、すみません…アハハ…」。経験したことのない緊張に襲われて“フリーズ”してしまい、照れ笑いを浮かべる姿が初々しかった。

 言葉に詰まる様子を見て、8年前を思い出した。15年11月10日。ZOZOマリンの会見場でFA権の行使を表明した今江選手は泣いていた。「いろんな思い出があるので…。今は寂しい気持ちの方が強いです」。とてつもない寂しさに襲われて言葉が出てこず、何度も涙を拭いながら言葉を絞り出した。当時のロッテはFA権を行使した選手の「宣言残留」を認めておらず、自らが決断したこととはいえ、愛着のあるチームを去ることへの寂しさと懸命に戦っていた。ただ、移籍を決断していなければ楽天で監督になるという未来が訪れることは間違いなくなかったはすだ。

 当時、ロッテ担当だった記者はこの会見も取材していた。8年後、楽天担当として1軍監督就任に立ち会えたことに不思議なめぐり合わせを感じる。現役時代の「ゴリ」というワイルドなニックネームとは対照的に、とても心優しく繊細さも持ち合わせている男だ。緊張で笑ってしまう姿も、悲しくて人目をはばからず泣く姿も、どちらも彼の人柄をよく表している。

 監督就任会見で理想のチーム像をこのように掲げた。「(ロッテ時代の)ボビー・バレンタイン監督は僕にとって恩師。“チームはファミリーだ”と言って接してくれた。家族のような信頼できるチームにしたい」。今江監督ならきっと選手の良き理解者となるだろう。持ち前の明るさでチームを包み込み、13年以来のリーグ優勝&日本一に導いて最高の笑顔を見せてほしい。泣き顔を見るなら、歓喜の涙がいい。
(記者コラム・重光 晋太郎)

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