中日・大島 母の教え「やるのなら最後まで」貫き通算2000安打 竜一筋目指すは立浪監督の記録超え

[ 2023年8月27日 05:05 ]

セ・リーグ   中日0―2DeNA ( 2023年8月26日    バンテリンD )

<中・D>3回、2000本安打達成の大島はボードを掲げる(撮影・井垣 忠夫)
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 中日・大島洋平外野手(37)が26日、DeNA戦で3回に中前打を放ち、プロ野球史上55人目となる通算2000安打を達成。プロ14年目、1787試合目での到達で、大学、社会人を経た選手では史上4人目の快挙となった。最下位に低迷するチームは延長の末に敗れ8連敗となったが、生涯ドラゴンズを貫く安打製造機は12回に2001安打目となる右前打を放つなど、詰めかけた3万6334人の大観衆に勇姿を届けた。

 3万6334人の視線を一身に浴びた3回1死一塁の第2打席、大島らしさが凝縮された一振りで決めた。「基本に忠実なセンター返しができた」。石田の初球、真ん中139キロ直球を鮮やかにはじき返した。この日は長女・実梨ちゃんの12歳の誕生日で、「おめでたいことが重なって、僕も日付を覚えやすいし、よかったです」。駆けつけた家族の前で愛娘の記念日も祝う節目の一打となった。

 10年3月27日、本拠地の広島戦でのプロ初安打から4900日。打球が一走・チェンに直撃してアウトとなった異例の一打から始まった。「一生の自慢かな」と話すのは、13年6月1日、日本ハムだった大谷翔平(エンゼルス)から放った右翼線二塁打。史上55人目、大学社会人を経て達成した選手では古田敦也、宮本慎也、和田一浩に次ぐ4人目だった。

 「やるのなら最後までやりなさい」。母・靖子さん(63)の教えを貫く。中日ファンの父・英明さん(64)の影響で、物心ついた頃から父とのキャッチボールに夢中だった。テレビ画面の向こうで躍動する立浪和義に憧れた。若手時代はほぼ無休で、今も完全休日はシーズン終了後の10日だけ。連日バットを振り続け染みこませた。

 「母親の言葉を大事に、こんなに長く、まだ野球をやれている」

 愛妻の支えがある。09年に結婚した真世夫人(35)。常に野球優先で住まいも野球のために替えた。19年に建てた自宅には最新機器をそろえたトレーニング室を設置。「ほぼ毎朝、目玉焼きとウインナー」という朝食を済ませたら1人トレーニング室にこもり汗を流してから球場へ向かう。

 「家族で外食できるのは、土曜のデーゲームがホームの時くらい。それでも、僕が野球だけを考えられるようにしてくれる。妻には本当に感謝しかない」

 戦い続ける理由がある。ドラフト指名された09年に誕生した長男・慶士くん(14)。自身のプロ人生と重なる愛息の成長を見守ってきた。「いつか同じグラウンドに立てたら。高卒でのプロ入りは無理かもしれないけど。あとは僕がどこまでやれるか」。中学の軟式野球部で練習に励みプロ入りを夢見る長男と、大舞台でプレーするまで父の勇姿を見せ続ける。そんな思いが打ち立てた金字塔だ。

 19年にFA宣言せず中日一筋を誓ったのは新人だった10、11年のリーグ連覇を最後に遠ざかる頂点へ返り咲くため。「当時は先輩たちに勝たせてもらった。後輩にも経験してほしいし、中日で優勝したいんです」。立浪監督が持つ通算2480安打の球団記録更新を見据え、生涯ドラゴンズを貫く背番号8が価値ある一打を重ね続ける。(湯澤 涼)

 《大島2000安打データ》★中日一筋 中日生え抜き選手の達成は78年高木守道、85年谷沢健一、03年立浪和義、17年荒木雅博に続く5人目。中日在籍中の達成は13年谷繁元信、15年和田一浩を加えた7人目。

 ★経歴 駒大、日本生命を経て09年ドラフト5位でプロ入り。大学→社会人を経た選手では05年古田敦也、12年宮本慎也、15年和田一浩に続く4人目で、左打者では初めて。

 ★スピード 1787試合は9番目の速さ。実働14年は13年ラミレスの実働13年に次ぐ2番目。日本人選手では71年長嶋茂雄、72年張本勲ら6人に並ぶ最速記録となった。

 ★内訳 465投手から打って、最多は小川(ヤ)から55安打。2位のメッセンジャー(神)、石川(ヤ)の34安打に21本差と群を抜く。達成時の本塁打34本は荒木の33本に次ぐ2番目の少なさ。一方で単打1661本は全体の83%を占め、長打を捨てたチャンスメークの積み重ねで偉業を達成した。

 ◇大島 洋平(おおしま・ようへい)1985年(昭60)11月9日生まれ、愛知県名古屋市出身の37歳。享栄、駒大、日本生命を経て09年ドラフト5位で中日入団。12年に盗塁王&ベストナインを受賞し、14年には球団最多タイのシーズン186安打。16年7月20日の広島戦で史上64人目のサイクル安打を達成した。19、20年は2年連続で最多安打。ゴールデングラブ賞は11、12、14~16、18~21年の9度。1メートル76、75キロ。左投げ左打ち。

 《恩師「まだ5年できる」》▼柴垣旭延氏(愛知・享栄高時代の監督で達成時にサプライズで花束も手渡す)球団から“本人には内緒で”と言われていました。正直、想像していなかった。達成してくれて良かった。まだ5年はできる。立浪監督が持つ2480本の球団記録を目指してほしい。

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