阪神・近本 後藤次男超え!!球団5年目最多742安打「水分とミネラルを補給して頑張ります」

[ 2023年8月17日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神5―3広島 ( 2023年8月16日    マツダ )

<広・神>7回、中野の安打で三進する一走・近本(撮影・岡田 丈靖)
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 ついに始まった。優勝へのカウントダウン。自分たちの力でマジック「29」を点灯させた。阪神入団5年目で初めて聞く言葉の響き。リードオフマン、そして選手会長として、チームを引っ張ってきた近本にとっても、心に残る勝利になった。

 「マジック点灯ですか。何とか何とか(勝ちたい)、という気持ち。気にはしていない。後半戦で何とかするだけ。それだけです」

 勝利に沸くマツダスタジアムのロッカーで気持ちを落ち着け、帰りのバスには最後に乗り込んだ。全員でつかんだ勝利の余韻を人一倍味わいたかったのかもしれない。

 しっかりと勝利にも貢献した。同点に追いついた2回2死一、三塁で九里の127キロ変化球を右前打。野間が打球を後逸する間に、ミエセスに続いて、一塁から木浪も生還した。マジックを初点灯させる決勝打を、近本が放った。

 「打ったのはフォーク。何を投げてくるか分からなかったので、打てる球を打つことに集中していた。ランナーが残っていたので、還すバッティングができて良かった。みんながつくったいい流れに自分も乗ることができたと思う」

 近本個人にとっても大きな記録達成を果たす一打になった。新人から5年目までの安打数で球団トップだったかつてのダイナマイト打線の中核選手で元監督の後藤次男の740安打に、初回に並び、2回の適時打で超えた。「球団記録なので、特に気にはしないですよ」と言いながらも、表情はほころんだ。

 梅野が死球による骨折で戦列を離れ、この日は佐藤輝もスタメン落ちした。自らも右肋骨骨折で一時離脱しているだけに「ゲームに出る選手が、やるべきことをやるしかない」と強い信念を持ち続けている。何があっても慌てない。どんな状況でもベストを尽くす。その姿勢はゴールの瞬間まで変わることはない。

 「とにかく勝てたことが良かった。しんどい試合が続くけど、水分とミネラルを補給して頑張ります」。8度目の3安打猛打賞、21個目の盗塁にも成功し、9試合を残してチームの長期ロード勝ち越しに貢献した。まだまだ戦いは続く。近本も決して気持ちを緩めることはない。 (鈴木 光)

【データ】
 ○…近本(神)がこの日3安打。通算742安打とし、阪神選手のプロ入り5年目までの通算では赤星憲広の739安打、後藤次男の740安打を抜いて球団単独トップに立った。なお、プロ野球記録は長野久義(巨)の767安打。2位長嶋茂雄(巨)763安打、3位青木宣親(ヤ)744安打と続き、近本は4位。

 ▽後藤 次男(ごとう・つぐお)熊本県出身。熊本工、法大を経て1948年(昭23)に大阪タイガース入団。愛称は「クマさん」。新人から5年連続100安打以上に、2年目の49年から4年連続で打率3割をマーク。48、49年の「黒虎」ユニホーム時代に「ダイナマイト打線」の一員として活躍。守備では投手と遊撃以外の7ポジションを守った。57年の現役引退後はコーチ、2軍監督を経て69、78年と2度阪神監督を務めた。右投げ右打ち。

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