【甲子園】土浦日大6点差逆転!初8強 球場包んだ手拍子応援に藤本「自分を応援してるのかなって」

[ 2023年8月17日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第10日3回戦   土浦日大10-6専大松戸 ( 2023年8月16日    甲子園 )

<土浦日大・専大松戸>専大松戸に勝利し、駆け出す土浦日大ナイン(撮影・平嶋 理子)
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 カクテル光線に照らされ、スタンド全体から手拍子が起こる。9回。粘る専大松戸(千葉)の最後の攻撃を、甲子園が後押ししていた。

 「選手たちは“こんな雰囲気で阪神タイガースはやってるんだな”って。でも、あの手拍子は温かい感じがしました」。土浦日大(茨城)の小菅勲監督は柔和な笑顔で言った。同校初のベスト8は異例の光景の中で決まった。

 試合前から異変が生じていた。一、三塁側のアルプス席に目立つ空席。両校応援団が台風7号の余波で球場に着けなかったのだ。静岡県内が大雨に見舞われ、東海道新幹線と山陽新幹線が東京―博多間で一時全線でストップ。専大松戸は吹奏楽部を含む大半が、土浦日大も保護者と生徒ら約700人が甲子園に来られなかった。専大松戸は自家用車を利用した保護者らと一部生徒、野球部員らによる手拍子で応援。6点リードを逆転され、必死に反撃する6回途中から手拍子の応援は球場全体へと広がった。

 そんな中、土浦日大は6点差をひっくり返した。84年に名将・木内幸男監督率いる取手二の三塁手として全国制覇した小菅監督。6点リードされ、いつも名将が言っていた「まだゲームは終わってねえぞ」という言葉が頭に浮かび、選手に言った。「甲子園にコールドはないからな」。そこから大逆転劇は始まった。3回に打線がつながり一挙5点。4回に追いつき、5回に3点勝ち越した。3番手のエース左腕・藤本士生(しせい=3年)も「(手拍子は)自分を応援してるのかなって逆に楽しく投げた」と6回1/3を無失点に抑えた。

 木内氏と50年来の付き合いがある持丸修一監督の専大松戸に「木内マジック」ばりの逆転勝ち。「やるべきことをやった選手のおかげです」。少し茨城弁の入った小菅監督の言葉が39年前と同じ進撃を予感させていた。(秋村 誠人)

 ≪18年済美VS星稜以来≫土浦日大が6点差を逆転勝ちした。甲子園大会での6点差逆転勝ちは、18年夏の2回戦・済美―星稜以来。8回表終了時で星稜が7―1とリードしていたが、8回裏に済美が一挙8点を奪い逆転。延長13回タイブレークの末、済美が13―11で逆転サヨナラ勝ちした。なお、8点差の逆転勝ちが最大。97年夏の1回戦・市船橋17―10文徳と、14年夏の1回戦・大垣日大12―10藤代の2度ある。

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