阪神・森下、コイキラー本領の先制弾&4安打4打点 「梅野さんのためにも」恩返しの思い秘める

[ 2023年8月16日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神6-7広島 ( 2023年8月15日    マツダ )

<広・神>3回2死二塁、佐藤輝の右前打で生還し、ナインの出迎えに満面の笑みを浮かべる森下(撮影・北條 貴史)
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 阪神は15日、広島に6―7の逆転負けを喫し、連勝は10で止まった。前日14日に誕生日を迎えたドラフト1位・森下翔太外野手(23)が、前回7月30日にも一発を放っている大瀬良から、自身への“祝砲”となる先制5号2ランを含む自己最多4打点と孤軍奮闘。自身が本塁打を放てばチームは4戦全勝だったが、不敗神話も崩れ、18年ぶりとなるリーグ優勝へのマジックナンバー点灯はお預けとなった。16日こそ勝利し、悲願のマジックを点灯させる。

 近畿地方を縦断した台風7号の影響を受け、マツダスタジアムにも試合前から断続的に雨が降り注いだ。試合終盤を迎えても気温は30度に迫り、湿度も80%近い。ましてや5―2からの逆転負け…。不快指数MAXの夜にあって、森下の打棒だけは爽快だった。7月28日広島戦(甲子園)以来となる自身2度目の4安打は、球団新人では19年近本以来。先制2ランあり、追加点の2点二塁打あり。次々と快打を飛ばした。

 「打席に入る前から走者を還す準備はできていた。打った瞬間(バットに球が)乗った感覚があった。入ったかなと思った」

 初回1死三塁。優勝マジック点灯へ向け、是が非でも機先を制したい場面で森下が応えた。カウント2―2から先発・大瀬良が投じた膝元の直球を振り抜くと、白球は左翼席上段へと一直線。直後、小園の2ランで同点に追いつかれるも、3回1死二、三塁から今度は内角直球を左翼線へと運び、すかさず突き放した。自己最多となる1試合4打点。こちらも球団新人では21年佐藤輝以来の快挙だ。

 「球も見えていたし、京セラ(11日からのヤクルト3連戦)で何度もチャンスで打てなかった反省があった。きょうは取り返せた」

 5回2死で左前打、8回先頭で右前打を繰り出す、背番号1のヒットパレード。この夜の5打数4安打で、マツダスタジアムに限ると10打数6安打の打率・600、広島戦だと32打数12安打の打率・375まで数字が跳ね上がった。まさにコイキラー。圧倒的好相性も味方に、きょう16日、再び優勝マジック点灯へと挑戦する。

 「2戦目、3戦目と、より警戒される。その中で(出塁できたら)大山さんや輝さんにもチャンスが回ってくる。得点を取る上で気持ちを切り替えて、しっかりやっていく」

 ルーキーながら優勝争いの渦中で堂々奮闘を続ける。「1年目で優勝争いできたらめちゃめちゃいい経験だぞ、と梅野さんからも言われている」。励ましの声をかけてくれた正妻は左尺骨骨折で離脱中だ。無念は当然、リーキーにも伝わる。

 「梅野さんが一番優勝したい人だと思う。(骨折の試合後に)“これから勝ってくれよ”と言われた。梅野さんのためにも頑張る」

 恩返しの思いも胸に秘め――。自らのバットで再出発の1勝をたぐり寄せる。(八木 勇磨)

【データ】
 ○…阪神の連勝が10でストップ。お預けになった優勝マジック初点灯は、最短で16日、広島に勝って「M29」が出る。仮に16日も負けても17日の広島戦で勝利、または16、17日2試合連続引き分けでも「M29」点灯が可能だ。

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