バース氏 阪神・佐藤輝に3冠打法の極意 誕生日が同じ“後継者”に親近感 本紙を通じて送った3つの助言

[ 2023年7月15日 05:15 ]

娘のレミーさんと記念撮影するランディ・バース氏(撮影・平嶋 理子)
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 阪神OBで歴代最強助っ人と称されるランディ・バース氏(69)が本紙を通じて、悩める阪神・佐藤輝明内野手(24)に3冠打法の極意を伝えた。19日のオールスター第1戦(バンテリンドーム)で開かれる野球殿堂表彰式のために12日に来日。誕生日が同じ“後継者”に親近感を持ち、復調を熱望した。(取材・構成、鈴木 光)

 誕生日が同じ「3月13日」。生まれ年は1954年と99年で、45歳差があってもバース氏は佐藤輝に特別な思いを寄せていた。

 「ただ、生まれた日が一緒というだけなんだけど、その彼がタイガースのユニホームを今着ている。親近感は当然あるよ」

 スペシャルゲストとして始球式を務めた3月31日のDeNAとの開幕戦(京セラドーム)以来の来日。今回は19日のオールスター第1戦の試合前に開かれる野球殿堂入りの表彰式参加が目的だ。

 開幕戦のベンチ裏では佐藤輝と初めて顔を合わせた。「これも何かの縁だね」と話しかけると、佐藤輝も「僕も誕生日が一緒だということは知ってました」と笑顔で応じていた。あれから約4カ月。不振で苦しい状況を知っていた。2年ぶりの2軍降格から昇格した5日以降の7試合で26打数3安打で打率.115。本塁打はまだなく、6月16日のソフトバンク戦で3年連続2桁本塁打に王手をかけてから足踏みが続く。通算でも打率.217まで落ち、12日のDeNA戦では7回の守備中に交代を命じられた。

 「何とか、ここから立ち直って、後半戦に頑張ってほしい。タイガースの勝利のために佐藤輝の活躍が必要なんだ。ぜひ伝えてもらいたい」

 本紙を通じて送った助言は3つだ。

 (1)「構えたバットを動かすな」
 開幕戦から動画でチェックを続ける中で気になったのは打席での構え。バットが揺れ動き、ピタッと決まらない。自らの現役時だけでなく、たとえば王貞治氏(ソフトバンク会長)も構えたバットは微動だにしなかったと強調。バットの位置が決まらないから始動が遅れ、タイミングが合わなくなる。「もっと打席で落ち着くことが必要だ」と分析した。

 (2)「スイングはレベルで」
 打球を遠くへ飛ばしたいという意識が強すぎて「角度をつけたスイングになっている」と見ている。当たり損ね、ファウルも目立つ。「スイングの基本はレベル。レベルスイングを意識してほしい。角度をつけたら、ボールに当たるスポットは1点しかない。それでは打ち損じるだけ。レベルに振れば、ミートの確率は上がるんだ」

 (3)「スローボールを打つ練習で軸をつくれ」
 速球にタイミングが合ってない。無理に合わせようとするからスイングも崩れる。不振時に室内で打撃投手のスローボールを打ち込んだ経験を基に「スローボールをしっかり打つことで軸やタメができる。だまされたと思って試してほしい」と提案した。
 かつてチームメートだった岡田監督の下での優勝を熱望。「85年のシーズンも1位と2位のアップダウンを繰り返していた。今年も状況は似ている。最後に勝つためにも8月のロードが大事。輝もそのときにいい打撃を見せてほしい」と心から期待した。

 ◇ランディ・バース 1954年3月13日生まれ、米オクラホマ州出身の69歳。メジャーではパドレス、レンジャーズなど6年間で130試合、打率.212、9本塁打、42打点。83年から阪神に在籍して、85、86年は2年連続3冠王。特に85年は初の日本一に貢献してMVP。86年の打率.389はいまもプロ野球記録として残る。88年途中に子供の病気を理由に帰国して退団し、同年現役引退。日本では通算614試合で打率.337、202本塁打、486打点。帰国後は米オクラホマ州で農場経営の傍ら市会議員、州議会上院議員を歴任。97年にはスポーツニッポンで評論家を務めた。現役時1メートル84、95キロ。右投げ左打ち。

 ▽85年のバース 4月17日の巨人戦で槙原寛己から「バックスクリーン3連発」の口火を切る1号3ランを放ち、同戦から5試合連続本塁打。5月は22試合のうち6度の勝利打点などで貢献。前半戦は首位・広島から3ゲーム差で巨人と同率2位だった。7月31日の中日戦では右足甲に自打球を当ててはく離骨折し、8月6日のヤクルト戦で復帰して決勝打。7勝7敗で乗り切った8月の長期ロード後は広島、巨人とのマッチレースで、5連勝を飾った9月11日にM22が点灯。10月9日からは4試合連続勝利打点で引っ張り、10月16日のヤクルト戦に引き分けて21年ぶりのリーグ優勝を決めた。126試合で打率・350、54本塁打、134打点。

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