豊岡総合 兵庫初の継続試合 9回無死二、三塁から再開し逆転サヨナラ 雨が生んだ10分間のドラマ

[ 2023年7月15日 04:00 ]

第105回全国高校野球選手権兵庫大会2回戦   豊岡総合5―4明石清水 ( 2023年7月14日    ウインク姫路 )

<豊岡総合・明石清水>サヨナラ勝利を挙げて、観客席にあいさつへ向かう豊岡総合ナイン(撮影・河合 洋介)
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 第105回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会は14日に各地で開催された。兵庫大会で初めて適用された豊岡総合―明石清水の継続試合は、9回裏無死二、三塁から再開し、豊岡総合が逆転サヨナラ勝利を飾った。

 前日13日の雷雨が10分間で決着するドラマを生んだ。豊岡総合の石田豪監督は「2日連続で試合をできるのは幸せなこと。最後は野球の神様がいたのかな」と興奮を隠せなかった。兵庫大会では初めて適用された継続試合。約23時間を挟んだ3―4の9回裏、無死二、三塁というクライマックスから再び幕が開いた。

 四球と空振り三振で1死満塁。試合前練習での動きの良さを買われ、1年生の細川瑚太郎が代打に抜てきされた。「足が震えていた」。初球を空振りし、カウント1―1でスクイズのサインが出た。「バントは得意。絶対に決めてやる」。きっちりと投前に転がして同点。次打者の二ゴロが適時失策を誘い、サヨナラで決着した。

 劇勝の裏には兄弟の絆があった。兄・然(ぜん=2年)は前日に3―2の9回無死一、二塁から救援し、逆転を許した。「大雨で球が滑る中での投球だった。そこまで一人で背負わなくていいのに…」と落ち込む姿を目の当たりにして奮い立った。チームメートになるのは少年野球以来。「お兄ちゃんと一緒に野球をする」と進学した。前夜は高校野球のサヨナラ試合の動画を見て気持ちを高め、勝利後は大好きな兄から「やるときはやるな!」と褒められた。

 ウインク姫路球場から豊岡市内の同校まではバスで片道2時間半もかかる。継続試合の決定後は多くの指導者から宿泊施設を手配しようとする連絡が入った。着替えなどの用意がなく自宅での静養を優先して豊岡市内に戻り、2日連続の長旅を選択。バスの使用料10万円を追加で支払っても、石田監督は「お金では買えない経験ができました」と充実感を漂わせた。兵庫大会は昨年から継続試合を採用。再開から10分後、劇的な勝者へと変わった。(河合 洋介)

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