【赤星憲広氏 走塁塾】二盗決めたい時はリードはあえて小さく 投手に近づいく秘伝も

[ 2023年6月27日 08:00 ]

赤星憲広 走塁塾
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 阪神OBで本紙評論家の赤星憲広氏(47)が野球少年少女や指導者に走塁技術を指南する「走塁塾」(毎月第4火曜日掲載)。第3回は「リード編」です。盗塁王5回、通算381盗塁のスペシャリストが語る極意とは…。同氏がオーナーを務めるレッドスターベースボールクラブ協力による動画も必見です。

 私は通常、スタート7、帰塁3の意識でリードしていました。ただ試合展開の中でジスボールでスタートを切らないといけない状況、絶対に得点圏に進みたい状況というのは必ずあって、その時は「7・3」の意識を「8・2」もしくは「9・1」までに引き上げる必要があります。二盗に成功したいとなればリードを大きくしがちですが、逆です。盗塁を絶対に決めたい時は、半歩リードを小さくしていました。

 リードを大きくすると、投手からのけん制球に注意しなければならなくなります。リードを小さくして、けん制球にもしも逆をつかれても一塁ベースに戻れる安心感があれば、一番最悪の結果である「けん制アウト」は免れることができます。二塁ベースまでの距離が半歩分だけ遠くなるデメリットも確かに生じますが、それ以上にいいスタートを切るメリットの方が大きく、優先させていました。体重のかけ方ではなく、どちらかと言えば気持ちの持ち方ですね。

 私は塁上にいる時は、いつもスタートを切る準備はしていましたが、僅差や逆に大差がついていたり、相手バッテリーの強い警戒があった時などは、スタートを切るのは控えようという場面も時にはありました。その場合は逆にリードを大きくとって、帰塁の意識が高い「1・9」くらいで、投手にプレッシャーをかけるようにしていました。

 あと、少し前に出て(投手に近づいて)リードを取る時がありました。投手に聞いてみたところ、同じリード幅でも近づいた場合の方が、目の錯覚で体が大きく見えるのでリードが小さく見えるらしいのです。特に右投手の場合は、セットポジションの時に左肩越しに走者を見るので、その錯覚は、より効果的みたいです。

 盗塁はコンマ何秒を競う勝負。少しでも成功率を上げるために、細かいことをいろいろと考えていました。 (本紙評論家)

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