松坂大輔氏 松坂世代「最後の希望」毅の200勝待ってる 42歳感じさせないソフト・和田の投球

[ 2023年6月27日 05:30 ]

今年2月春季キャンプを訪れ、ソフトバンク・和田(左)と笑顔を見せる松坂大輔氏 
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】本紙評論家の松坂大輔氏(42)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」。6月編では、同学年の盟友で今季すでに5勝を挙げているソフトバンク・和田毅投手(42)について語った。松坂世代で最後の現役選手。活躍の秘密は若さあふれる直球にあるとし、自身が達成できなかった日米通算200勝を左腕に託している。

 毅は今季ここまで5勝。何より直球が「若い」ですね。今年2月の春季キャンプ。ブルペン投球を見る機会がありましたが、非常に強い、年齢を感じさせないボールを投げていて、今季の活躍を予感させました。自分と同じ42歳。この年齢でさらなる可能性を感じさせるのは本当に素晴らしいこと。自分もうれしくなります。故障せず1年間、ぜひローテーションを守ってほしいと思っています。

 初めて会ったのは彼が浜田高校3年、自分が横浜高校3年だった夏の甲子園。毅とも当時の話をするのですが、開会式の入場行進の前に一緒に写真を撮ったらしいんです。彼は写真を持っているんですが、自分は覚えていなくて(笑い)。3回戦の帝京戦は宿舎で見ていました。(森本)稀哲(現日本ハム外野守備走塁コーチ)にバックスクリーンへの一発を打たれましたが、そこで勝利してベスト8に進出しました。

 当時は直球が120キロ台。それが今では140キロ台後半を投げます。この年齢でもスピードが上がっているのが彼の恐ろしいところですね。最大の特長は、打者の手元ではさらに速く感じるという点。スピンが利いたボールは打者の体感では150キロ以上でしょう。だから空振りもするし、打者は差し込まれてしまいます。この直球こそが毅の投球の「肝」。本人も2月のキャンプの頃から手応えを感じていたのだと思います。あまりそういうことを表に出すタイプではありませんが、珍しく自信満々だったのを覚えています。

 彼は自分たちの世代の「最後の希望」なんです。毅がユニホームを着て現役の投手として投げている。その姿を見るだけでこちらも「頑張ろう!」と思えます。一日でも長く、雄姿を見せてほしい。現在、日米通算で160勝。自分が現役を引退する時、彼には思いを託しました。自分が達成できなかった200勝を目指してほしい、と――。

 今は米ボストンに滞在していますが、彼とはちょくちょく連絡を取っています。昨年、評論家になった時に毅には「試合を見に来てほしい」と言われました。まだ実現していませんが、今度日本に行った時はぜひ球場を訪れたいです。そこで、彼の若さあふれる直球を目に焼き付けたいと思っています。(スポニチ本紙評論家)

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