【注目の二刀流選手】智弁学園・中山 正遊撃手もこなす天才肌「しんどい練習をしてこそ二刀流」

[ 2023年6月27日 07:30 ]

智弁学園の二刀流・中山優月(撮影・成瀬 徹)
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 第105回全国高校野球選手権大会(8月6日開幕、甲子園)の出場校を決める地方大会はすでに沖縄で開幕し、近畿でも7月1日に開幕戦を迎える兵庫大会から聖地を懸けた戦いが幕を開ける。今年の高校生は、3月のWBCで世界一に輝いた侍ジャパンに刺激を受ける世代。投打の主力となったエンゼルス・大谷翔平(28)に続こうとする「未来の二刀流候補」が着々と育っている。そこで投打でチームの中心を担う注目の選手に迫った。(取材・構成=河合 洋介)

 野球の花形ポジションと言えばエース、4番打者、正遊撃手…。その3役をこなす天才肌の選手が、智弁学園(奈良)にいる。今春に背番号6を背負い、近畿大会優勝に導いた中山優月(3年)だ。

 「試合の中心に投手がいて、守りの中心には遊撃手がいる。チームの中心といえる役割を両方やることにやりがいを感じています」

 最速146キロを誇る本格派右腕の一面を見せたかと思えば、遊撃手として華麗な守備も披露する。打席に入れば高校通算10本塁打超の左の強打者で、打順は3番か4番を担う。「二刀流として注目されることが、原動力です」。チームのどの要素を切り取っても、その中心に中山がいる。

 投手と野手のメニューを行き来し、他の選手の倍の練習量をこなす。その流れは多忙で濃密だ。ウオーミングアップ後に遊撃でノックを受けてから、ブルペン投球へ向かう。その後、打撃練習に加わり、全体練習の最後に野手の強化メニューも消化する。そこから寮でせわしなく夕食を済ませ、個別で投手の強化練習をこなせば、二刀流としての一日がようやく終わる。「しんどい練習をしてこそ二刀流と思う。両方やるからには、しっかり練習をしないと示しがつかない」。投打の結果だけでなく、練習に取り組む姿勢でもチームの見本となっている。

 少年野球の頃からエースで4番。自然とエンゼルス・大谷に憧れた。「内野もやる二刀流だぞということが大きなモチベーション。投手としても野手としてもチームを引っ張り、出られていない甲子園に行きたいです」。最後の夏こそ、遊撃もこなす二刀流として聖地で目立つつもりだ。

 ◇中山 優月(なかやま ゆづき)2005年(平17)8月21日生まれ、兵庫県洲本市出身の17歳。小学3年時に洲本ゴンターズで野球を始めて投手と遊撃手。中学はヤング淡路に所属。智弁学園では1年秋に背番号19でベンチ入りし、2年秋に背番号1。50メートル走6秒3、遠投115メートル。1メートル76、74キロ。右投げ左打ち。

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