【スポニチ潜入(6)徳島商・森煌誠投手】投手歴2年余りで最速148キロの本格派右腕「憲伸2世」

[ 2023年6月13日 09:00 ]

屈強な体から投じる速球が魅力の徳島商・森煌誠(撮影・後藤 正志)
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 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる企画「スポニチ潜入」第6回は、四国No・1投手の呼び声高い徳島商(徳島)の森煌誠(こうだい=3年)。投手歴2年余りで、最速148キロにまで成長した本格派右腕。同校OBレジェンド右腕の後を追ってプロ入りを志す、「川上憲伸2世」の成長曲線に迫る。

 森の剛球は、捕手のミットめがけてズドンと来る。投球練習を見ているだけで、球質の重さが伝わってくる。「一番自信があるのは直球。自分は直球で押していく投手。どの場面でも直球で貫き通そうと考えています」。最速148キロ。全国舞台とは無縁ながら、この直球で名を上げた。

 投手に転向したのは高校1年時と投手歴は浅い。中学では三塁手だったものの、一塁送球を見た森影浩章監督から「投手をやらないか」と提案されたのが始まり。1年夏に137キロ、同秋には144キロと順調に最速を更新。剛腕の片りんをのぞかせるのに時間はかからなかった。

 「最初は投球フォームがグチャグチャで、思い切り投げているだけだった。リリースの時に手首を立てることや、体重移動などを意識すると回転数が上がり、いい球を投げられるようになりました」

 1メートル83、88キロ。屈強な体から速球を投げ下ろす剛腕の評判は、四国の枠を越えて広がった。県大会の戦績は昨秋3位、今春8強と甲子園未出場ながら、4月上旬に実施されたU―18日本代表候補の強化合宿に招集された。ともに今秋ドラフト1位候補に挙がる大阪桐蔭・前田悠伍、享栄・東松快征らとともに濃密な3日間を過ごし、「いい投手は直球も変化球も低めに集められる。間(ま)をつくるのも、うまかった」と収穫を持ち帰った。

 憧れは今季ブレークを果たしたオリックス・山下舜平大。高校時代の変化球がカーブのみだったという右腕に自身を重ね合わせる。「僕も最初は直球とカーブしか投げていなかった。山下投手は直球でもカーブでも、空振りを取れる。そこに惹(ひ)かれました」。変化球に頼らず、速球で勝負し続けて本格派へと進化した。山下と共通する成長曲線にロマンが詰まっている。

 「甲子園に導ける投手になりたい。そして将来的にはプロ野球選手になりたいです」

 同校出身で日米通算125勝を誇った川上憲伸も高校から投手に転向した。言うなれば「川上憲伸2世」か。四国の剛腕は、直球で全国を驚かせる夏にするつもりだ。(河合 洋介)

 ◇森 煌誠(もり・こうだい)2005年(平17)10月1日生まれ、徳島県鳴門市出身の17歳。小学1年で堀江北スポーツ少年団で野球を始めて捕手。中学は徳島藍住リトルシニアに所属。徳島商では1年秋から背番号18でベンチ入りし、2年秋から背番号1。50メートル走6秒6、遠投100メートル。1メートル83、88キロ。右投げ右打ち。

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