【和歌山】伝統校・田辺 “99回目の夏”はコールド発進

[ 2018年7月15日 13:51 ]

第100回全国高校野球選手権記念和歌山大会2回戦   田辺8―1南部(7回コールド) ( 2018年7月15日    紀三井寺 )

<南部・田辺>粘りの投球で1失点完投した田辺のエース熊野
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 1回裏、先頭の新谷拳大(2年)が内野安打で出ると、田辺の田中格監督(46)は「瞬間にひらめいた」と初球からヒットエンドランのサインを出した。2番の左打者・道脇清太(3年)が引っ張って右前に運び、右翼手が打球処理を誤る間に、一塁から新谷が長駆、先制の生還を果たした。

 「あれで活気づきましたね」と田中監督は言う。「試合前から彼らには“エンドランもあるぞ”と言っていました。2番の道脇には普段からバントだけでなく、強攻策も練習させていましたから。一、三塁にしてくれるという期待がありました」

 1回裏はさらに暴投で加点。勢いづいた打線は2回裏、連続四球の1死一、二塁から、名物の応援「田辺が大将」に乗って5連続長短打など6安打を集中して6点を奪い、主導権を握った。

 大量援護を受け、エースの熊野輝也(3年)が粘り強い投球を続けた。4回まで毎回安打を浴びるなどピンチはあったが、「バックの守りを信頼して投げた」と踏ん張った。

 「特にあれが大きかった」というのが、2回表、1死満塁での左翼線寄りのライナー性飛球を左翼手・輪玉(わだま)渉馬(2年)が飛び込んで好捕した美技だった。

 熊野は1年の冬に捕手から投手に転向した。マウンドにいても「捕手の考えていることが分かるし、守っている選手の気持ちも考えられる」と、周囲を考えながら投球する。「リズムやテンポをよくするように心がけています」

 今年は100回大会。1896(明治29)年創立の伝統校、田辺にとっては、あらためて歴史の重みを感じながらの大会となる。野球部もOBに元巨人外野手、近鉄監督の岩本尭(たかし)氏らがおり、春2回、夏1回の甲子園出場がある。

 田中監督によると、中山浩樹校長が野球部の歴史を調べると、1916(大正5)年の第2回大会の予選から参加していた。全国に15校ある“皆勤校”にあと一歩の“99回目の夏”に快勝の第一歩を刻んだ。(内田 雅也)

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2018年7月15日のニュース