パラ・アスリートの軌跡 ~障がい者スポーツ~

東京パラ開幕100日前 車いすラグビー新世代エースの19歳・橋本はあえて仕事との両立で頂点を狙う

[ 2021年5月16日 05:30 ]

橋本勝也
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 東京パラリンピックで日本が金メダルを狙う車いすラグビーで、最年少19歳の橋本勝也が新世代エースとして期待を集めている。福島・田村高を今春卒業し、地元の三春町役場で社会人生活をスタート。16日で8月24日の開幕まで100日となったパラ本番に向け、競技と仕事を両立させながら夢の舞台に思いをはせている。

 迫り来る開幕へのカウントダウン。「時間がないと凄く焦りを感じている部分もある」と漏らす橋本だが、延期となった1年の間に着実な成長を遂げた。

 3月に日本代表候補を3チームに分けて行われたジャパンパラ大会では、3試合で最多の85得点を挙げて所属チームの優勝に貢献。橋本への配球を増やして成長を促すため、プレー再開時にボールを投げ入れるインバウンダーに回った主軸の池崎大輔も「(得点が期待される)ハイポインターとしての気持ちが凄く芽生えていた。一番の収穫」と称えた。

 先天性の四肢欠損で中学2年から競技を始めた。高い運動能力で頭角を現し、わずか2年で日本代表入り。18年世界選手権は決勝こそ出番はなかったが、優勝メンバーの一員となった。東京パラに向けては「決勝の舞台に立ちたい」と主力として金メダルを夢見る。

 今春の高校卒業後は競技に専念可能なアスリート雇用の道もあったが、仕事との両立を選択。町役場で週5日はフルタイムで働き「体も心も疲れて家に帰ってすぐ寝て」と練習量は減ったが「自分で選んだ道なので責任を持って両立したい」と訴える。「働きながら代表の座を勝ち取りたい」。志を高く持ち、東京パラで頂点に挑む。(東 信人)

 ◆橋本 勝也(はしもと・かつや)2002年(平14)5月9日生まれ、福島県三春町出身の19歳。先天的に四肢に欠損があり、車いすラグビーでは2番目に障がいが軽い3・0クラス。三春中2年から競技を始め、東北ストーマーズに所属。

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