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倉出し取材帳 ゴルフ担当エピソード

遼はなぜマスターズで予選落ちしたのか

 石川遼の20歳のマスターズが終わって、1カ月がたとうとしている。4度目の大舞台は輝きを放つことなく終わった。それが残念でならない。技術的、精神的に成長をしているにもかかわらず、なぜ、力を発揮できなかったのだろう。

 石川にとって2012年の開幕戦になった1月の米ソニーオープン。大会直前に異様な光景が広がった。「(マスターズがある)2カ月後ぐらいに最高の状態に仕上がっていくようにしたい」という考えのもと、1日10時間の練習でスイング固め。しかし、これはオフにすべきことであって、試合に臨もうとしている選手としては常軌を逸する行動だった。半ば“試合を捨てた”ともとらえられる猛特訓の結果、予選落ちしてしまう。

 ところが、それほど時間を空けずに成績を出すのが石川の恐ろしいところ。2週間後のファーマーズ・インシュランス・オープンは終始安定したゴルフで13位に入った。さあ、これから実戦段階へ│。精度を高めていく練習に入ると思われた矢先、また、不可思議な方向へと動き始めた。

 日本に戻って、新潟県内で雪山合宿を張ったのだ。これは恒例行事で、例年なら米国遠征もこのスキー合宿の後に行っていたのだから、いつも通りと言えばいつも通りと言える。しかし、せっかく感覚が研ぎ澄まされてきたところでリセットしてしまったのが、あまりに残念だった。米国に残っていれば、素晴らしい環境で打ち込みができた。緑の芝生を捨て、銀世界にこもる理由が、私には分からなかった。

 気がかりだったのが、石川が日本に戻ることに後ろ向きだったこと。表面上は「例年よりも体をいじめたい」と語っているが、「僕が決めたことじゃない」という趣旨の言葉も同時に発していた。雪山合宿は?年からの恒例行事。断れぬ理由があったのだろう。いずれにせよ、一連の調整過程は、まだ出場資格がなかったとはいえ、陣営が20歳のマスターズに向けてしっかりとしたロードマップを描けていたのか、疑問を感じさせた。

 石川はゴルファーであると同時に、芸能人的側面もある。コース外での忙しさは半端ではない。 それゆえ、だろうか。「ソニー」前の猛特訓はオフの調整不足、「ファーマーズ」の後は、自分の主張を通せない事情を感じさせた。しかし、周囲に左右され、素直に目指す方向に進めないのであれば、プロとして論外だ。もう大人。これまでの慣習を見つめ直して、自分色をもっと出してもいいはずだ。20歳のマスターズの失敗を教訓に、独り立ちしてほしいと切に願う。

[ 2012年5月3日 ]

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