創部3年目で倉敷を初の花園に導いた梅本監督の教え「ラグビーは人生そのもの」

[ 2021年12月26日 05:30 ]

高校ラグビー開幕特別企画 倉敷

朝5時半からレスリング道場でタックル練習をする倉敷の選手
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 倉敷(岡山)は日本一、練習開始が早いチームかもしれない。スタートは午前5時半。レスリング道場でタックルを含めたコンタクトプレーをし、体育館でモールを組んだ。約2時間、汗を流してから授業に向かうのが日課だ。

 午後も練習するのは、平日は週に3日で、1時間程度。ほぼ全員が寮生の部員33人は朝型生活で力を付け、創部3年目で岡山県を制した。

 2年生主将のCTB丸尾瞬は「他の学校と違うことをやっているのはプラス」と早朝から真剣に取り組んでいることが自信の源になっていると説明した。

 唯一の留学生、高校日本代表候補のNo・8ラリー・ティポアイルーテル(3年)は、ニュージーランドに住んだ中学までは「学校に毎日遅刻していた」と振り返るほど、朝が苦手だった。今は4時に起きる。礼儀作法を重んじる日本の文化に感銘を受け、学校内での振る舞いでもチームの模範的存在になった。

 授業終了が選択コースによって異なるため、全員が確実にそろう朝練に力を入れざるを得ない側面があるものの、梅本勝監督(58)には別の狙いがある。「大学入試は朝から始まる。社会人になれば、仕事で朝が早い時もある。いい訓練でしょう」。選手に聞かせる話は、歴史、時事ネタなど多岐にわたる。ラグビーのプレーにつながる人間性については特に厳しく説く。

 梅本監督は、江の川(現石見智翠館)、尾道でもラグビー部の創部にたずさわり、両校を花園常連校に育てた。豊富なキャリアから、「ラグビーだけを強くしようと思っていない。ラグビーは人生そのもの。人間性を身に付けたら、自然と競技の力が付く」という信念を持つ。3年前に倉敷へ移り、県外と県内出身者を融合させて花園切符をつかんだ。

 27日の初戦は、58回目の出場となる大分舞鶴。持ち味は、倉敷がディフェンス、大分舞鶴が展開力。出場回数から戦術まで、対照的な2校の対戦になる。(倉世古 洋平)

 ▽初出場 今大会は3校。倉敷のほかに、専大玉名(熊本)と読谷(沖縄)。1大会3校以上の初出場は、出場校が増える記念大会をのぞけば、2014年度の94回大会以来。

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