辞任の森会長 最後まで恨み節「意図的な報道もあったと思う。女性蔑視の意図は毛頭ない」

[ 2021年2月12日 16:18 ]

東京五輪・パラリンピック組織委の評議員会と理事会の合同懇談会で、辞任を表明する森喜朗会長(代表撮影)
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 東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(83)が12日、東京都内で開かれた同組織委理事会と評議員会の合同懇談会に出席し、同日限りでの辞任を正式に表明した。

 森会長は懇談会の冒頭、約15分間に渡ってあいさつ。後半には一連の女性蔑視発言を受けて辞任に追い込まれたことについて、恨み節を語った。

 同氏の発言概要は以下の通り。

 ご多用の中で大勢お集まりいただきましたし、リモートで参加もあるんでしょ?約45名、ご覧になっている。

 今回、私の不適切な発言が原因で、大変混乱をしてしまいました。多くの方に大変ご迷惑をお掛けしましたことを、大変申し訳なく思います。すでに報道されている通り、今日をもちまして、会長を辞任いたそうと思います。大事なことは、五輪を7月に開催することですので、準備のために、私がいるために妨げになってはいけないと思います。

 思い返せば7年になるが、東京都庁の知遇をお借りして、組織委がスタートした。44人でスタートし、今日は3400~3500人おられて、それぞれの部署で懸命な準備をされている。その皆様方のことを考えても、感慨無量であります。

 (在任中に)会場見直しもした。当時の計画を思い切って削減をした。そのために東京都で開催するオリンピック・パラリンピックを隣県の埼玉、千葉、神奈川、山梨、静岡にも広げ、広範囲なオリンピック・パラリンピックとなった。大会前にはサッカーも野球も行う。特に東北を中心にサッカーをお願いして、野球・ソフトボールは福島にお願いした。各県知事には努力をいただいて、準備していただいた。

 また15年に入り、3者合意があった。16年にはリオデジャネイロ五輪があり、素晴らしいアスリートの活躍があった。安倍さん(前首相)においでにいただいて、安倍マリオという話題を呼ぶセレモニーがあった。17年は携帯電話のリサイクルでメダルを作ろうという運動を提唱した。表彰台にはペットボトルを使おうと。

 今は確か、福岡にいったか、トーチを東北の震災の時に使われた仮設住宅の金属を使って、トーチを作った。持続可能性の社会を目指して、組織委も一緒になって頑張ろうとなったのも、皆さんのおかげ。18年には(IOCの)バッハ会長が来日して、改めて復興五輪を確認した。19年には札幌にマラソンを移すと。20年には採火式があった。火をいただいて日本側に渡された日だが、コロナで厳しい措置が出された。(20年3月)18日に火にいただきに行く予定だったが、行くと2週間の隔離になってしまう。飛行機だけで飛ばそうと、8人の職員が(ギリシャに)残り、日本にいただいた聖火をホテルで確保した。あの騒ぎで聖火が日本に入らないと、今日どうなったか。幸い、19日に入ってきた。JOCの五輪ハウスで大事に展示した。感心が深いということで、当時の高市(総務)大臣の提案があって、見ていただく、陳列をしたらどうかと。総務省の予算を使っていいということだったので。どこへ行っても、たいまつがあるだけで3000人4000人が集まり、大変な賑わいを見せている。特に子どもさんを中心にアテネの火が感心があったということで、こうしたことも五輪への前哨としていい行事であった。

 21年に入り、コロナ対策を政府に取りまとめていただいたが、想像も付かないような1年延期ということを安倍さんとIOCとの間で合意した。

 あと半年。いよいよオリンピック・パラリンピックを開催する方針で準備をしている矢先だったが、会長である私が余計なことを言って申し訳ない。解釈の仕方ではあると思う。これを言うとまた悪く書かれるが、意図的な報道もあったと思う。女性蔑視の意図は毛頭ない。男性よりも女性の方により発言してもらえるように、絶えず進めてきた。なかなか皆さんはお話にならなかったが。谷本さん(歩実理事)いかがですかと。

 ご記憶にあると思うが、ロンドン五輪後のパレード、リオデジャネイロのパレード、いずれもオリンピックとパラリンピックが一緒にやるべきだといって、大成功した。IOCから示された(参加選手の男女比)1対1、比率を同じにしようと、ほとんどの競技団体にお願いして、ほぼ完璧な仕上がりになった。蔑視することは毛頭ないし、これまでもオリンピック・パラリンピック、障害ある人ない人、同じように扱ってきた。そういう意味で、この一言で、私の不注意もあったと思うが、こういうことになった。本当に情けないことを言ったもんだなと。ご迷惑をお掛けした。

 昨日、バッハ会長。コーツさん、武藤事務総長と電話会談をした。バッハ会長からはねぎらいの言葉をもらった。まさに2020の成果だと称賛をいただいた。

 私がいる限りご迷惑を掛けるなら、障害になってしまう。老人も国のために頑張っている。極めて不愉快な話。愚痴を言っても仕方ない。約8年になる。小学校は1年留年になった。後半の中学校の仕上げを、新しい会長に仕上げをしてもらおうと思い、本日をもって辞することにした。いくつかご相談をいただくことはあるが、最後は後継者の選定をどうするか、取り計らいがあると思う。率直な意見をいただき、意味がある会になるように。最後の会として心に残るように、ぜひ運営をできればと思っている。

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2021年2月12日のニュース