スーパーボウルでバッカニアーズが2回目の優勝 ブレイディーは自身通算7回目の戴冠

[ 2021年2月8日 11:35 ]

抱き合って歓喜するブレイディーとグロンカウスキー(AP)
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 第55回NFLスーパーボウルが7日、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームズ・スタジアムで行われ、大会史上初めて使用スタジアムを本拠にしているチームとなったバッカニアーズ(NFC南地区2位=第5シード)が、昨季の王者チーフス(AFC西地区1位=第1シード)を31―9(前半21―6)で下し、18季ぶり2度目の頂点に立った。

 ペイトリオッツ在籍時を含めて自身通算10回目の出場となったQBトム・ブレイディー(43)は第1Qの残り37秒、ペ軍時代にチームメートだったTEロブ・グロンカウスキー(31)に8ヤードのTDパスを成功。スーパーボウルでは初めて第1QにTDをマークし、第2Qにも自身5回目のスーパーボウルとなったグロンカウスキーと、シーズン途中で契約した元スティーラーズのWRアントニオ・ブラウン(32)にそれぞれTDパスを通した。

 昨オフにペイトリオッツから移籍してきたブレイディーはスーパーボウルでは通算7勝3敗で5回目のMVP。過去9回出場で平均315・3ヤードを記録していたが、この日は29回中21回のパス成功で201ヤードと3TDを獲得し、昨季7勝9敗だったバッカニアーズを“覚醒”させた。1952年10月3日生まれのブルース・エリアンス監督(68)はスーパーボウルを制した大会史上最年長の指揮官。第3Qには昨季までジャガーズに在籍していたRBレナード・フォーネット(26)が27ヤードのTDをランでマークするなど、移籍組の活躍が目立つスーパーボウルとなった。

 チーフスは第2Qに入って自滅。バッカニアーズは敵陣1ヤード地点まで攻め込んだ第4ダウンのギャンブルプレー(ラン)で失敗していたが、チーフスはこのあとパントミスを犯し、インターセプトを記録した思われたプレーでは守備側がホールディングの反則をコールされて取り消しとなった。バッカニアーズがFGを成功したプレーでもミス。不要なオフサイドで攻撃権を再度与え、これがグロンカウスキーの2つ目のTDレシーブにつながった。しかも2つ目のFGが成功して8点差としたあとは時間をつぶす“作業”に失敗。残っていた自軍のタイムアウトを2回使うことによってバッカニアーズに攻撃の余裕を与え、このあと自陣でインターフェアを2度も犯し、前半終了間際にブラウンのTDレシーブ(1ヤード)に直結してしまった。

 昨季のスーパーボウルでMVPとなったQBパトリック・マホームズ(25)は左のつま先を痛め、シーズン終了後に手術を受ける予定。今季第12週のこのカードでは3つのTDパスを稼いで27―24での勝利に貢献していたが、オフェンスラインの主力3選手が不在だったこともあって動きにキレがなく、パス成功は49回中26回で270ヤードの獲得(今季平均316はヤード)にとどまった。前半でTDパスなしに終わったのはNFL4季目にしてこれが5回目。1試合を通してパスによるTDなしに終わったのは、2019年9月29日のライオンズ戦以来、ポストシーズンを含めて31試合ぶりとなった。

 マホームズのメーン・ターゲットとして活躍してきたTEトラビス・ケルシー(31)は10回のレシーブで133ヤード、高校時代に追い風参考ながら100メートルを9秒98で走っていたWRタイリーク・ヒル(26)は7回で73ヤードを稼いだが、チームの勝利に貢献することはできずチームの9得点は今季最少だった。

 ブックメーカー「ウィリアム・ヒル社」の試合前の優勝オッズでは今季11勝5敗だったバッカニアーズが2・4倍だったのに対して14勝2敗のチーフスは1・6倍。しかし本番ではブレイディーのパスワークに屈する形となった。

 フロリダ州のこの日の新型コロナウイルスの感染判明者は6624人で97人が死亡。2日連続で1万人を下回り、感染者数は減少傾向にあるもののスーパーボウルでは収容能力の38%の2万4835人に観客動員を抑えこんだ。シーズンを通してコロナに振り回された1年。しかし最後はスーパーボウルの“顔”となった感のあるブレイディーの存在がバッカニアーズを頂点と押し上げて波乱のシーズンは幕を閉じた。

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