大阪朝鮮高“使命”初の決勝届かず…前年王者に前半ドローの奮戦も後半力尽く

[ 2021年1月6日 05:30 ]

第100回全国高校ラグビー大会準決勝   大阪朝鮮高12-40桐蔭学園 ( 2021年1月5日    花園ラグビー場 )

<大阪朝鮮高・桐蔭学園>後半、タックルを受けながらも突破を図る大阪朝鮮高・金勇哲(撮影・北條 貴史)
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 主将らしく気丈に振る舞っていた大阪朝鮮高のNo・8金勇哲(キムヨンチョル)がピッチを離れると、こらえ切れず声を押し殺して泣いた。

 「ボクが頼りなくてチームを最後まで引っ張っていけなくて。本当に申し訳ないです」

 王者・桐蔭学園を相手に前半は互角の戦い。0―5で迎えた15分には伝統のモールからSH李錦寿(リクンス)が素早い突進でトライを奪い、SO金侑悟(キムユオ)のゴールでリードを奪った。決して謝罪の言葉を口にしなければならない敗戦ではなかったが、それだけこの試合に懸ける思いは強かった。

 今季のチームは(1)ハナ(一)(2)ミドゥム(信頼)(3)スンリ(勝利)という3つの部訓のほかに「使命」というスローガンを掲げ、練習用ジャージーの背中にその二文字を背負った。今大会8強のチームの中で最少の39人。現2年生はわずか7人しかいない。このままでは朝高ラグビーの灯が消える。そんな危機感から選手が自主的に始めた勧誘活動。その最大の目玉が09、10年大会で苦杯を喫した桐蔭学園を破っての初の決勝進出と日本一だった。

 「選手は本当に最後までチャレンジしてくれました」と権(コン)晶秀(ジョンス)監督(39)も涙。現3年生は10年前のチームを題材にした映画「60万回のトライ」に感化されて入部。10大会ぶりの奮戦はまだ見ぬ後輩たちの心に何か残したはずだ。

 ○…4強の中でただ一人、準々決勝までの全4試合でトライを挙げていた快足FB金昂平(キムアンピョン)は激しい桐蔭学園のマークに遭い、得点に絡むことができなかった。「どんな状況でもトライを取り切るのがエース。力不足でした。朝高でのラグビーは終わりますが、次はOBとして大学で朝高ラグビーをアピールしたい」。卒業後は名門、明大で金勇哲主将と果たせなかった日本一を目指す。

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2021年1月6日のニュース