バレー日本代表エース・石川祐希は「もっと強くなる」 コロナ禍で気付いた「今やれること」

[ 2020年10月14日 05:30 ]

2020+1 DREAMS

今季セリエA開幕戦でスパイクを放つ石川(セリエA提供)
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 【THE OPINION】バレーボール男子日本代表の石川祐希(24=ミラノ)が先月27日のイタリア・セリエA開幕戦で日本人初となる通算1000得点(カップ戦などを含む)の金字塔を打ち立てた。中大在学時の14年に渡欧して6シーズン目。昨季は新型コロナウイルス感染拡大の影響でシーズン途中の打ち切りやロックダウン(都市封鎖)という緊急事態を経験した日本のエースがイタリアで感じたことを語った。

 ――今季はコロナ禍での開幕となった。イタリアの現状は?
 「4月にイタリアを一時離れた時点と状況は変わって、ウィズコロナのフェーズになっていると感じた。リーグは試合の1週間前にPCR検査をするほか、入場者数はミラノで最大700人。満員の中でプレーを見てもらいたいが、試合ができることが大事なので、仕方ない部分もある」

 ――開幕戦でイタリア通算1000得点を達成した。
 「自分のやってきた証の一つ、日本人初なので非常にうれしい。ただ、野球でいう2000安打のような殿堂入りの記録でもない。まだ1000得点。2000、3000となるように、もっともっと努力していきたい」

 ――昨季はイタリア全土でのロックダウンなどもあり、リーグは途中で打ち切りとなった。
 「スーパーではマスクをする習慣がないイタリア人がマスクに手袋で黙って列に並んでいたので、普通じゃないという印象だった。上位へ挑戦する機会を失ったのは、やり場のない悔しさを感じたが、積み上げたものがゼロになってしまうことは絶対ないとも思っていた」

 ――外出禁止中のイタリアで孤独な闘いを続けていた。
 「運動といえば水を入れたペットボトルを重りに筋トレする程度だった。シーズン中と同じスケジュールで生活することを心掛け、体重の増減にも気を配った。語学の勉強や読書にも時間を割いた」

 ――コロナ禍で新たな気付き、発見は?
 「当たり前だったものが当たり前じゃないことを痛感した。プレーできることに感謝するとともに、ファンのためもっと結果を出したいという思いが強くなった。今やれることは、バレーボール選手としてもっと強くなることだと思っている」

 ――一時帰国後にはイタリアでの経験を踏まえ、大学病院と連携した感染防止の呼び掛けなど、プレー以外の活動も行った。
 「日本でもバレーから離れてほしくないし、楽しんでほしいと思った。(協会などの)ガイドラインはあるが、アスリートが真っ先に発信していくことも重要。感染予防の呼び掛けもできる一つのことだと思った」

 ――東京五輪は来夏に迫っている。
 「五輪は最高のパフォーマンスで、支えてくれた人に恩返しをする場と思っている。どんな環境でも、全力で楽しむことは変わらない。見てくれる人たちに元気や勇気を届けられるプレーヤーになりたい」

 ▽バレーボールセリエA 1部は12チームが参加。ホーム&アウェー形式で全22試合を行い、上位8チームがプレーオフに進出する。今季はプレーオフを含めて21年4月まで行われる。昨季は新型コロナウイルスの影響でシーズン途中で打ち切りとなった。各国の代表クラスが集まる世界最高峰リーグの一つと称され、現在プレーするアジア人選手は石川のみ。

 ◆石川 祐希(いしかわ・ゆうき)1995年(平7)12月11日生まれ、愛知県出身の24歳。小学4年から競技を始め、愛知・星城では2年連続高校3冠。中大1年時の14年からイタリアでプレー。2年時は故障で国内にとどまったが、3年時から再び渡欧し、卒業後もプロ選手としてイタリアのクラブで活動。今年9月にはイタリア通算1000得点、今月にはリーグ出場100試合を達成した。1メートル92、85キロ。ウイングスパイカー。

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