レイカーズは10年ぶりに戴冠 MVPはジェームズ NBAは開幕356日目でフィニッシュ

[ 2020年10月12日 11:07 ]

紙吹雪の舞う中で歓喜するレイカーズのジェームズ(AP)
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 今季のNBA王者を決める「FINALS」は11日、フロリダ州オーランドで第6戦を行い、レイカーズ(西地区)が106―93(前半64―38)でヒート(東地区)を退けて4勝2敗。10年ぶりにNBAの頂点を極め、優勝回数はセルティクスに並ぶリーグ最多の17回目となった。

 ファイナル通算55試合目となったレブロン・ジェームズ(35)は41分の出場で28得点、14リバウンド、10アシストで今ポストシーズンで4回目のトリプルダブルを達成。NBAファイナル出場10回目で自身4回目の優勝をすべての能力を出し切って勝ち取った。今ファイナルでの1試合平均出場時間は優勝した中では一番少ない39・3分だったが、6試合で平均29・8得点、11・8リバウンド、8・5アシストを記録しファイナル4回目のMVPに輝いた。キャバリアーズ、ヒートを含めて異なる3チームでファイナルでMVPとなったのはリーグ史上初めて。ジェームズは「信じられない気分。ここにいる全員をリスペクトする。自分にとってもチームにとっても多くの意味がある優勝だ」と試合終了のブザーが鳴るとチームメートと抱き合って歓喜していた。

 試合は第1Q序盤で同点が2回あったものの、レイカーズは最大で36点差をつけ、一度もリードを許さない「WIRE TO WIRE」で快勝。左足のかかとを痛めているアンソニー・デービス(27)は19得点を挙げ、ペリカンズから移籍初年度で初めてチャンピオン・リングを手にすることになった。セルティクス時代の2008年にレイカーズを破って優勝を経験しているライジョン・ロンド(34)も19得点を稼いで勝利に貢献。選手としてセルティクスとレイカーズというリーグの歴史を支えてきた東西の名門2チームでリーグ制覇を達成したのは、殿堂入りを果たしているクライド・ラブレット(1954年にミネアポリス時代のレイカーズ、63、64年にセルティクスで優勝)以来、史上2人目となった。

 レイカーズはファイナルに入って第5戦まではセンターのドワイト・ハワード(33)を先発で起用していたが、第6戦ではガードのアレックス・カルーソ(26)を先発させてヒート同様にスモール・ラインアップで応戦。第5戦の終了直前、決めれば優勝という3点シュートを失敗したダニー・グリーン(33)はその後に殺害を匂わせる脅迫をソーシャルネットワークで受けていたが、グリーンは第6戦でも先発して3本の3点シュートなどで11得点を記録するなど心理的な影響は漂わせなかった。

 東地区5位から勝ち上がってきたヒートは第5戦までに全精力を使い切ったのか、前半でフリースロー(FT)を12本中7本失敗し、フィールドゴール(FG)の成功率も32・2%にまで低下。バム・アデバイヨ(23)がチーム最多の25得点を記録したが、このシリーズで史上6人目となる30得点以上でのトリプルダブルを2回達成したジミー・バトラー(31)はレイカーズのダブルチームを含めた密着ディフェンスにあって12得点にとどまった。第1戦で左足の足底筋膜を断裂して4試合を欠場していたガードのゴラン・ドラギッチ(34)は第1Q終了間際からコートに復帰したが5得点。ジェームズが在籍していた2013年以来、通算4回目の優勝には届かなかった。

 それでもドラギッチの故障のあとを受けて新人のタイラー・ヒーロ(20)がファイナル史上最年少の先発選手としてこのシリーズでは奮闘。第6戦では7得点に終わったが、ドラフトでウィザーズの八村塁(22)の4つあととなる全体13番目に指名されたルーキーにとってこのファイナルは貴重な経験になったことだろう。ドラフト外入団ながら先発で起用され続けたダンカン・ロビンソン(26)は第5戦で7本の3点シュートを沈めて26得点を挙げ、同じくドラフト外入団の新人ガード、ケンドリック・ナン(25)も奮闘。エリート軍団のレイカーズに対してヒートは最後まで堂々と立ちむかった。

 今季が開幕したのは昨年の10月22日。しかし今年の1月26日、レイカーズOBのコービー・ブライアント氏がヘリコプターの墜落事故で死亡するという衝撃的な悲劇に見舞われた。遠征先のフィラデルフィアからロサンゼルスに戻ったジェームズが涙を流す姿が写真にとらえられ、直後のクリッパーズ戦は延期された。葬儀が行われたのは2月24日。そしてそのあとに新型コロナウイルス感染拡大という予想もしなかった事態に見舞われ、3月12日にシーズンは中断となった。

 「打ち切りも選択肢のひとつ」という中でNBAは再開する方法を模索。限られた時間の中で厳格な感染予防マニュアルを設け、7月30日にフロリダ州オーランドの総合スポーツ施設内で一括開催するという“バブル方式”でシーズンを再開させた。ところが再開しても今度は黒人男性に警察官が発砲するという事件が起きてまた中断。ブライアント氏の事故死直後もレイカーズはクリッパーズ戦を延期しており、多くの“ハードル”を長い時間をかけて乗り切る異例のシーズンとなった。

 新型コロナに感染する選手がNFLや大リーグで続出する中、NBAは再開後に1人の陽性判明者を出さずにフィニッシュ。開幕から356目、シーズン中断からは214日目、そしてブライアント氏の事故死からは259日が経過したが、NBAは多くの困難を乗り越えてようやく今季のゴールにたどり着いた。

 <2020年ファイナルの結果と日程>

 ▼第1戦(9月30日)=○レイカーズ116―98●ヒート
 ▼第2戦(10月2日)=○レイカーズ124―114●ヒート
 ▼第3戦(10月4日)=●レイカーズ104―115○ヒート
 ▼第4戦(10月6日)=○レイカーズ102―96●ヒート
 ▼第5戦(10月9日)=●レイカーズ108―111○ヒート
 ▼第6戦(10月11日)=○レイカーズ106―93●ヒート

 *日付は米国時間

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