伊勢ケ浜親方 弟子の復活Vに歓喜の涙、何度も引退引き留め…「よく頑張った」

[ 2020年8月2日 21:44 ]

大相撲7月場所千秋楽 ( 2020年8月2日    両国国技館 )

<大相撲7月場所千秋楽>師匠の伊勢ケ浜審判部長(右)からを優勝旗を授与される照ノ富士(撮影・郡司 修)
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 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は弟子の復活劇に目を潤ませた。表彰式を待つ間に、こぼれる涙を手で拭いながら歓喜に浸り、審判部長として優勝旗を手渡した。そして、「よく頑張ったと言ってあげたい」と照ノ富士をねぎらった。

 毎日のように通院して膝の治療を続けた姿を見ていた。それだけに「勝ったことで波に乗っていけた。ここまで来られると思っていないし、場所前には勝ち越してケガなく終われればいいと思っていた」と振り返る。予想を覆す結果に「真面目にやってきたのが良かった」とうなずいた。

 照ノ富士は14場所守った大関の看板を17年九州場所で失ってから番付は急降下。持病である糖尿病の悪化が原因だ。18年名古屋場所からは4場所連続で全休し「引退」もささやかれるなど影も薄くなった。5場所ぶりに土俵に上がり序二段で優勝したが、支度部屋に戻ると、結び目をほどかなくてもまわしがすっぽり抜けるほど体は細くなった。

 伊勢ケ浜親方は、そんなどん底に落ちた弟子から何度も引退を相談されたが、そのたびに引き留めてきた。「後悔させないように、ケガで負けて終わってしまわないように。(引退は)ケガを克服して本人も納得できてからと思った」。本調子ではない体で完全復活と言える2度目の賜杯。それは弟子が弱い己に勝った証だ。努力が実を結び、師匠は「やるだけやって頑張ることが大事」と実感を込めた。

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