「今すぐ東京スタジアムに走れ!」南ア戦直前、アイルランドサポーターからもらった一生もののプレゼント

[ 2019年10月21日 15:45 ]

南アフリカ戦後、スタンドのファンからは日本代表の選手たちへ労いの拍手が…(AP)
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 ラグビー日本代表のラストマッチ、南アフリカ戦を、アイルランドへの感謝の気持ちを胸に見つめていたのが、東京都杉並区在住の藤井裕士さん(52=会社役員)だ。上智大学時代はラグビー部に所属していたという藤井さんは20日午後3時45分頃、六本木にあるブリティッシュパブに足を運び、準々決勝のウェールズ―フランス戦をテレビ観戦した。

 拮抗した試合がハーフタイムを迎えると、近くにいた8人くらいのアイルランドサポーターのうちの1人の男性から「この後の日本戦も観るのかい?」と話しかけられた。「もちろん観るよ!」と即答すると、そのアイルランド人男性は「今日の日本戦のチケットをあげるから、今すぐ東京スタジアムに行け!」と、日本―南ア戦の観戦チケットをプレゼントしてくれたそうだ。

 男性はさらに「今日の試合は、僕たちではなく君が観るべきだ。僕たちはここで日本を応援しているから!」と勢いよく声をかけてきた。あまりに突然の展開に藤井さんがキョトンとしていると、側にいたフランス、ウェールズのサポーターの面々も加わり、「お前のビールは俺たちが飲んでおくから、早くここを出て行け!スタジアムに走れ!」と藤井さんの背中を押すように声を張り上げた。

 藤井さんはその場で号泣。メールアドレスを交換し、彼らとハグをして感謝の気持ちを伝えた。そして、後半開始と同時に店を出て、味の素スタジアムに泣きながら向かった。惜しくも試合は日本の負けとなったが、日本代表の奮闘に打ち震え、再び大粒の涙を流した。藤井さんは「試合は残念だったけど、心から感動しました。あのアイルランドの人には感謝しかない。本当に幸せな気持ちになりました」と感激しきりだった。今大会中、あちこちで見受けられたサポーター同士の心温まる交流。ノーサイドの精神は、ファンの間でも浸透している。

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2019年10月21日のニュース