荒磯親方 春場所展望 大関獲り貴景勝、集中すれば問題ない

[ 2019年3月9日 08:44 ]

「熱戦期待」と色紙に書き笑顔を見せるスポニチ本紙評論家の荒磯親方(撮影・西尾 大助)
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 大相撲春場所は10日、エディオンアリーナ大阪で初日を迎える。8日は取組編成会議が行われ、初日、2日目の取組が決まった。関脇・貴景勝(22=千賀ノ浦)の大関獲りが注目を集める中、今場所からスポニチの評論家となった元横綱・稀勢の里の荒磯親方(32)が展望を語り“評論家デビュー”した。

 今回、評論家となる話をいただき、春場所ではテレビ解説も決まりました。それに向けて、現役の時よりも力士の動向に注目し、新聞などの情報に目を通してきました。これからは評論や解説を通して、相撲の良さを伝えていければと考えています。

 今場所は貴景勝の大関獲りの場所です。初場所は昇進が見送られましたが、大関に近づいてることを感じさせる内容でした。貴景勝の良さは腰の安定感にあります。腰の構えが決まっているから、四股を踏むときもまわしの前の部分が見えています。本場所では突き落としで勝つ相撲もありますが、前さばきのうまさと腰の安定感があるから決まる「おまけ」のようなもの。土俵際で相手が残そうとするときに一歩前に出られるのも強みです。

 私は大関獲りの初日だった旭天鵬戦(2011年九州場所)を鮮明に覚えています。昇進は嫌でも意識してしまうもの。そこで自信を確信に変えていければ、2度目の優勝だけでなく、その先も見えてくるでしょう。私も経験がありますが、痛めている足の裏は地面に着くので治りづらい部分です。ただ、先場所までの相撲っぷりを見る限り、問題ないはずです。初日は妙義龍戦ですが、右を差されたり、押されたりするとは考えにくく、しっかり集中していけばいいでしょう。

 優勝争いは序盤の5日間で決まると見ています。ここで乗るか乗らないか。白鵬は二所ノ関一門の連合稽古に参加して貴景勝、玉鷲とやっていましたが、相手が力を出さざるを得ない稽古をしていました。あれが本当の横綱の姿。戦いは場所前から始まっていて、優勝に向けて稽古場から威圧感を出しています。2場所連続休場ですが、安定感は凄いというしかありません。鶴竜は自分の強さ、うまさを十分に分かっています。自分のペースで稽古をしていたと聞きましたが、そうやって上がってきた横綱なので、いい調整だと思います。

 弟弟子の高安とは場所前から稽古をしてきましたが、何かをつかんだようです。私が現役のときとは違い、力を出させようと思いきり当たっていきましたが、圧力は強くなっていて、昔は残せたところで残せないようになってきました。うまさがあるため相手に合わせてしまうところがありますが、「これ」と決めたものを続けていった方がいいでしょう。それができれば優勝も見えてくるはずです。

 ここ何年かは若手が伸びてこなかったのですが、貴景勝をはじめ若い力士が力をつけてきました。世代交代が近づいてきている予感がします。ベテランと若手がやり合ってくれれば面白くなるはず。親方として、力士たちの熱戦に期待しています。(元横綱・稀勢の里)

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